Merzbow Works
V.A."60 sound artists protest the war(ATAK/2003)
日本の音楽家、渋谷慶一郎がイラクへのアメリカ侵攻を機に作ったオムニバス。アイディアから3ヶ月程度で、自主レーベルATAKからの発売へつなげたそう。
戦争に対する抗議として1分間のサンプル・ファイルをメールで送ってもらい、一枚のCDに仕上げた。経緯はこのページに詳しい。
参加ミュージシャンは豪華。日本だけでなく、海外の著名なアンダーグラウンド・電子音楽家も多数参加している。
全員で60人。読みづらいかもしれないが、参加ミュージシャンを列挙しよう。
Aelab, Akira Yamamichi, Andreas Tilliander, Aoki Takamasa, Bernhard Guenter, Burkhard Stangl, Carsten Nicolai, Christof Kurzmann, Christophe Charles, Carl Michael Von Hausswolff, Coh, Doron Sadja, Evala, Fennesz, Frank Bretschneider, Franz Pomassl, Freiband, Go Taneda, Goodipal, Hideki Nakazawa, I8u, Janek Schaefer, John Hudak, Jos Smolders, Keiichiro Shibuya, Kkeith Rowe + Toshi Nakamura, Kenneth Kirschner, Kim Cascone , Kimken, Klon, Maria, Masahiro Miwa, Masami Akita(merzbow), M.Behrens, Mikael Stavostrand, Miki Yui, Minimalistic Sweden, Mitchell Akiyama, Mondii, Motor, nao Tokui+Take3tsu Nagano, Numb, Pix, Radboud Mens , Richard di Danto, Roel Meelkop, Saidrum, Shirtrax vs. Shirtrax, Slipped Disk, Steinbruchel, Stephan Mathieu, Steve Roden, Stilluppsteypa, Taeji Sawai, Thomas Lehn, TV Pow, William Basinski, Eamataka-Eye, Yasunao tone, Yuji Takahashi
1分間と時間制限したことで集中力が続く一方、さほど過激なアジテーションにも陥っていない。
めまぐるしく音楽性が変わり、ユニークな電子音楽作品に仕上がった。
さまざまな電子音楽が羅列されるが、ほとんどはミニマルや音響系の作品で、静かなノイズが多い。従ってストーリーや強引な展開に疲れることも無い。匿名性が強く、これを聴いてミュージシャンを当てるには、かなりの知識と愛情が必要そう。
主題である反戦抗議に思いを寄せるもよし、静かな電子音に浸るもよし。
音楽作品としては楽しめる一枚。
ここではメルツバウに絞って曲紹介を書きます。
<曲目紹介>
51.Untitled peace(1:00)
いきなり野太いハーシュ。唸り音が基調ながら、どこかドラムっぽいうねりを冒頭に感じた。中盤では音がシンプルに鳴り、ただ唸り音が持続する。
展開は特に無い。次第に5拍子風の唸るサンプリングが主体となり、さほど変化もなくエンディングへ進む。
1分間での主張をどうこう分析するには、展開がおとなしい。
むしろ何らかの曲の断片を取り出したような感触だ。なぜメルツバウは中盤からのノイズだけで1曲を構成せず、冒頭部分は多層ミックスを採用したんだろう。
45秒あたりでは、わずかにかさかさとこするような音も加わる。 (2006.8記)