Merzbowとは
メルツバウとは、秋田昌美が主催するノイズ・ユニット。
といいつつ、ほぼ彼のパーソナル・ユニットと言ってもいいだろう。
79年にメルツバウとして音楽活動を始めたときは、自宅での録音を活動のベースにし、メールアート的な作品発表をしていたらしい。
ところが89年のヨーロッパ・ツアーがきっかけとして、ライブ活動も視野に入れ多角化した作品を発表している。
海外での活動も活発で、ノイズ界では全世界でメルツバウの名声が鳴り響いているらしい。
メルツバウの由来は、たぶん1920年代にドイツのダダイスト、K・シュヴィッタースが提唱した「メルツバウ」からきていると思われる。
ちなみにここでいうメルツバウは「メルツ建築」をさし、「メルツ」の由来は<ausmerzen(除去する、削除する)>というドイツ語だそうだ。
メルツバウの音楽は、時を経るにつれ過激に変化していく。
初期のメルツバウはテープ・コラージュ的な音が中心だったのに比べて、現在のメルツバウは電子的なホワイトノイズを合成したかのような轟音に変化している。
インタビューで秋田は”音の変化は機材の変化”と言う。
数年ごとに機材を持ち替えることにより、産み出す音をさらに過激なノイズに進化させているそうだ。
最新の機材はパワーマック。ライブではステージへ無造作にPC一台だけを持ち込み、演奏はマウスのクリックだけで爆音ノイズをはじけさせる。
彼のノイズはハーシュ・ノイズと呼ばれる。(harsh:不快な、ざらざらした)
ノイズ音楽の中でも、とびきり喧しい騒音風のノイズを指して使われる。
まさにメルツバウがこの分野での先駆者だそうだ。
ラジオノイズ風のパルス音や金属的なノイズをごちゃ混ぜにした音だ。
ただ、高速なスピードのイメージをともなうので、聴き方によっては爽快感を感じられる。
メルツバウの活動で特徴の一つが、膨大なリリース量といえる。
サン・ラーにならい、かるく100を超える作品を世に放出済だ。
発表メディアもカセット、EP、LP、CDと多彩で、しかも世界各国からリリースされている。限定版も数多くあり、全貌をつかんでいる人は世界で何人いることやら・・・。
その活動の拠点として、彼は過去に2つのレーベルをインディーズとして持っていた。
最初のレーベルが「Louest Music & Art Japan」、そしてのちに「ZSF
Produkt Japan」へと変わっていった。
どちらも現在ではあまり活動していないようだが・・・。
これほど精力的に作品を発表・活動しているにもかかわらず、彼に関するHPを見かけたことがない。(正確には、アメリカあたりでファンがつくったHPは見かけたことがある。ところがすでに閉鎖されていた)。
もしMERZBOWのHPをご存知の方は、ぜひご教示をお願いいたします。
世界各国からごくわずかのリリース量で発表される、メルツバウの諸作を追いかけるのは至難の業だ。
ファンの人はどうやって情報を入手しているのか、不思議でならない。
なお、僕のメルツバウへの知識は、いくつかのインタビューや記事を読んだ程度で、詳しいなどとは程遠い。
このコンテンツも、メルツボックスを入手できた嬉しさでつくりあげたようなもの。
もっともっとメルツバウに詳しい方からのご指摘・ご教示を、ぜひともお待ち申し上げております。
(2000/10/9 記)