Review of Merzdiscs  23/50

Mortegage/Batztoutai Extra

Composed&performed by Masami Akita
MA plays tapes,voice,electornics,scrap metals,percussion,field recordings.
Recorded &mixed at ZSF Produkt Studio,Asagaya Nov 1984

 もともとは「Batztoutai」用にレコーディングされた曲を集めたアルバム。
 カセットテープの作品を、今回リマスターしている。

 (1)と(3)は96年にオランダのV2レーベルから、10インチとしてリリースされたこともあり。

 どんな隙間も見逃さずにノイズを切り込ませるメルツバウには珍しく、無音を一つのノイズ成分とした部分が多い。
 かなりヌケのいいアレンジだ。 

<曲目紹介>

1.Anus Anbil Anxiety (14:40) long version

 まずはひしゃげたテープコラージュから始まる。
 脈絡なくつぎつぎと音が現れては消えていく、サイケな作品。
 
 悪夢を音にしたら、こんな感じかなあ。
 つかみ所がない。
 エコーをもわんと効かせて、音が不安定にはずむ。

 ところどころにお経のような声を挟み込み、荘厳な雰囲気も漂う。 
 すかすかな音像の提示も、メルツバウにしては珍しいなぁ。

2.Radio 1511 (24:01)

 人の声をテープ加工してかぶせていった、混沌とした作品。
 さまざまな要素が絡み合うあたりを、ラジオのチューニングに例えているのかな。

 暴力的な感触はまったくない。ミニマル・テクノを思わせる瞬間も多々ある。
 音を埋め尽くさない、見晴らしのいいアレンジだ。

 こういう曲だと、秋田昌美の編集センスが際立ってくる。
 4分くらいから現れる、ぴーん、ぴーんとはじける電子音が、すばらしくかっこいい。
 単調にも、とっちらかりもしない。

 この作品を作る為に、秋田がテープをいじくり回したとは考えにくい。
 素材準備には手間をかけたかもしれないが、作品化にはかなり即興性をもりこんでいると思う。

 ふぁふぁっと、足元の定まらない音像なのに。
 どのノイズも妙に必然性を感じる。  

 終盤でカットアップを繰り返し、ノイズになだれ込む瞬間がスリリングだ。

3.Mortegage inc.Batztoutai (23:21)

 静かなノイズが淡々と続く作品。
 中盤では、歌謡曲をミックスさせてさらに聴きやすくなっている。
 ノイズっぽさを感じるのは、15分程度経過したあと。

 ころん・・・ころろんと零れ落ちるボールの音をしばらく流した後で、声をダブ処理したノイズが盛り上がる。
 全般的におとなしい感触の曲だ。
 ちょっとメルツバウにしては、物足りなさが残る。

Let`s go to the Cruel World