Review of Merzdiscs 20/50
Pornoise/1kg Vol.3
Composed&performed by Masami Akita
MA plays distorted Sony 464,feedback mixer,lop tapes,Synare 3,ring
modulator,devices
Recorded & mixed at ZSF Produkt Studio,Asagaya Dec 1984
カセット5巻組のメールアート、「Pornoise/1kg」音源をまとめたCD。
本作品のテーマは、とにかく「荒っぽい音のテープ」を使ったノイズだそう。
Sony 464のオープン・リールを使い、テレビ番組から拾った音も使っている。
本人のライナーによれば、手持ちの安っぽいノーマル・カセットへ、ダビングして作品化もしたとか。
もっともこれは作品思想の実現とは別の、「手持ちテープの再利用」も目的だったそうな。
<曲目紹介>
1.UFO vs British Army (30:46)
コラージュ風のノイズから幕を開ける。
テープループを使用して淡々と過ぎる部分は、聴きようによっては軍人とUFOの対話にも聞ける。
最もこのタイトルは、作品の素材元も指しているんだろう。
音源として、テレビのUFO番組(4チャンで当時やってた矢追物かな)から
素材を引っ張っているらしい。
13分くらいまで、ほとんど展開無しにこの構成が延々と続くのは辛い。
たしかに「継続させる」こともノイズを表現する方法の一つだろうが、「音楽」として聴く場合、テクノのように音色そのものに魅力がないと、家のステレオでじっくり聴くには、飽きてしまう。
ライブのようにミュージシャンの音楽とどっぷり向かい合うのと違い、家で聴いているときには気が散りがちだし。
15分たっても、電子ノイズの比率が多少増えるだけ。
ドローンのように、冒頭のテープループが流れつづける。
18分ほど経過して、テープループはやっとかなり息を潜める。
(ところどころで、そっと顔を覗かせるけど)
細かいミックスをほどこした、多種多様なノイズがスピーカーから溢れ出すけど・・・前半のループに食傷しているせいかなぁ。
どうもノイズにのめりこめない。むう。
最後の7〜8分くらいの時間。
様々なホワイトノイズが、よじりあいながら太い太いノイズに変容していく。
僕が好きなノイズは、このあたりかな。
オーラスで、アフリカの太鼓みたいなノイズが顔を出す。
妙に唐突でとまどってしまう。
深い意味があるのかなあ。・・・む〜。わからないや。
2.Toy 69 (28:55)
しょっぱなから切なげに、電子音が叫んだ。
じりっと雨だれノイズに変化して、じゃぶじゃぶリズミカルにこぼれていく。
絶え間なく降り注ぐ騒音は、いつのまにか機関銃の連射みたいに変わっていく。
テレビあたりからサンプリングしたのかな。男女のドラマの声がセクシーに挿入される。
ノイズの嵐にまぎれてしまい、なにを喋ってるかはまったくわからないけども。
しだいに女性の声が大きくミックスされていき、あからさまな喘ぎ声が響く。
ノイズをBGMにして流れる声が、妙にシュールだ。
そっとノイズが自己主張を始め、悶え声と交互にスピーカーの主導権を奪い合う。
女性の声はテープ・ループのようだ。
でかい音で聴いていると、多少気恥ずかしい(笑)
この「Pornoise/1kg」シリーズで、初めてタイトルにふさわしいポルノチックな曲。
もっともバックにはにぎやかにノイズが鳴り、そういう気分が盛り上がるかどうかは、まったく別だなあ。
13分くらいからは、フィルター・ノイズが音像の主役。
こまかく変化する微妙なノイズを後ろに従えて、ごぉん、ごぉんとじっくり唸る。
そして16分目くらいから、また喘ぎ声がなだれ込む。
まったく油断も隙もない。
結局この調子で、エンディングまで突っ走る。
いろんな意味で、でかい音で聴きにくい作品だ(爆)