Guided by Voices
Search for Omega Minus/the
Terrifying Experience(1997:AAJ)
Mitch Mitchell - guitar & vocals
Mark "Craigo" Dean - drums
Duane Hart - guitar
Geoff Ortlip - bass
Johnny Strange - backing vocals & bass on 3
デビュー当時からGbVでギターを弾いていた、ミッチ・ミッチェルによる4人組バンドのミニアルバム。
リリースのタイミングとしては、96年の"Under
the Bushes Under the Stars"のあと。GbVを離れたあとの音源だ。
たぶん、今までで唯一のアルバム。オフィシャルHPもここにあるが、あまり更新をしていないようだ。
それなりに、ツアーもしたりの継続的な活動を意識したバンドみたいだけど。
作曲のクレジットがないけれど、メンバーによる共作かな。
(2)をトビン・スプラウトの自宅で録音され、(5)はミッチが録音までしているようだ。
総じて、正直退屈な曲が続く。ミッチのヴォーカルもうまいとは言いがたい。
平板に音の上を滑っていってしまう。
GbVに比較すると、ロバートのようなメロディメイカーがいないせいで、音を単調に感じてしまうきらいがある。
やりたい音楽のピントがあっていないせいもあるだろう。
GbVを抜けたのは、自分の意思かどうかわからない。
とはいえGbVを脱退してまで創りたかった音がこれならば、かなり残念だ。
しっかりとしたプロデューサーを立ててレコードを作ったら、もっとメリハリがでてよくなると思う。
(今作ではプロデューサーのクレジットはなし)
つかみ所を見出しにくい、サイケな音楽だ。個人的にはおすすめ出来ない。
<各曲紹介>
1)Reaching for a Wisper
やさしいアコギのストロークで始まる。
ジョン・レノンを思わせるたどたどしい歌声で歌い始める。
ひとくさり歌ったあとにファズを効かせたギターが切り込み、曲の表情がガラリと変わる。
ただ、ヴォーカルに力がないから爽快感を感じづらい。
もっとうまい歌なら、かっこよくなったろうにな。
エレキギターのリフも、いまひとつ。
後半で唐突に、冒頭にも聞けたヴォーカルのアレンジに逆戻りする。
肌触りの違う2つの曲を強引に合わせた感じだ。
2)Nobel`s Last Will&Testament
こんどもアコギにのって、弾き語り調で歌い始める。
メロディはそこそこ魅力があって、「おっ」と歌に引き込まれる。
エコーを効かせた声の処理も、けっこうかっこいい。
このアルバムで僕があえて、一曲を選ぶとしたらこれかな。
小粒だけど、ソフトなサイケ風の佳曲だ。
3)Seeing Betty`s Headache Again
リズミカルなドラムをイントロにしたロックンロール。
冒頭の「ピピッ、ピピッ」って電子音が、妙に気に入った。
ただ、ヴォーカルに力がないので、不完全燃焼っぽい。
脱力気味の演奏が、熱意を上滑りさせてしまっている。
4)Correspondence Course By Tape
サビが中途半端に魅力的。
このサビをコーラスにして、主旋律をのっけたらかっこいいだろうにな。
せっかくの耳を引くリフなのに。もったいないよ。
しかし、覇気が感じられない・・・これが芸風なのかな?(笑)
5)Stress is the Best Reliever
唐突に演奏がカットインする。
がさがさっとした音質で、パンキッシュに迫ってみせた曲だ。
僕はバンドの経験はないけど、たぶん演奏してると気持ちよくなれる曲なんだろうな。
単調なフレーズの繰り返しが続く。わずかなメロディの変化に耳をそばだててしまうくらいだ。起伏もなく続いていくのを聞くのは、ちとつらい。
もうちょっと客観的に曲を聞いて、アレンジして欲しかった。
後半になって、ノイズまみれの中でヴォーカルがつぶやく。
とはいえ、このノイズも中途半端。もっともっと派手にハードに、ノイズを撒き散らして欲しい。