Guided by Voices

More songs from the mellow struggle/Swearing at motorists(1999:Secrtly Canadian)

produced by Dave Doughman
recording by Phil mehaffey and Dave Doughman
Dave Doughman - Vocals,guitars etc.
Don Thrasher - Drums,tapes etc.

with
Matt Bowman - guiatars
Phil mehaffey - organ on 3

 ドラムなどでGbV加入経験あるドン・スラッシャーとエンジニアとして関わったデイブ・ダグマンによるユニットの2作目。
 デュオとして簡素に仕上げたりせず、多重録音のバンド・サウンドにまとめてる。

 ベースはギターの低音部で代用してる風に聴こえた。 
「ベストの音で聴くには、スピーカーの最高パワーから3/4のところ、歪まない大きさで聴くように」との指示あり。

 このバンドをGbVの一環として関連付けるには、ちと無理ある。あくまでファミリー・ツリーの枝葉だろう。
「GbVに参加したミュージシャンの作品」として、別個に聴くべき盤だ。

 たぶんテーマはサイケ風味のロックンロール。
 ただしハーモニーもまずまず。テクニカルではないもののインストで耳を惹かせるセンスもある。
 メロディだって、あんがい美味しい。

 しかしどうも中途半端なイメージあり。
 なまじ多様な音作りなだけに、かえってバンドの個性がぼやけてしまった。
 がっちり特徴を出したらいいバンドになるよ、きっと。

<曲目紹介>

1)opening theme

 ギターらしき唸りが膨らみ、ピアノの和音がかぶる。
 ほのぼのとしたアコギ2本によるテーマが流れ、あっというまに終わり。
 短くて惜しい。この牧歌的なサウンドは、もう少しじっくり聴きたかった。

2)reature of habits(theme from he big spill)

 前曲の音像を引き継ぐ形で、フォーキーなハモリを前面へ。
 ちょっととっちらかった演奏だが、いったんブレイクしてサビのフレーズを呟くあたり、アレンジがいかしてる。

 しかしわずか1分15分・・・短すぎるよ。ロバートの影響がこんなとこに出たのかな。
 真似しちゃダメだよ。サビのフレーズはせめてもう一度聴きたかった。

 訥々とオブリを入れるギターがツボです。佳曲。

3)east of biloxi

 ほんのりスローテンポのロック。これまたデュオで歌う。
 オルガンはゲストのフィル・メファフィーだ。
 わずか2分半の曲なのに、彼を立てたみたい。中間部でグルーヴィに盛り上がる演出が楽しい。

 サイケさを強調したいのか、とりとめなく進行してゆく。
 ノリは持続するが、テンポもひょいひょい替わる構成。

4)I`ll only sleep

 一転して軽快なロックンロール。でもドラムがほんのりもたってません?
 メロディはキャッチーでも、いまひとつ覇気なし。惜しい。

 ギターをメインでシンプルに押すアレンジが、ここでは逆効果。かえって曲を没個性にしちゃってる。
 この曲こそ、オルガン入れればいいのに。ライブでの再現性を意識したのか。

5)You`re still here

 インストによるインターミッションってとこ。
 エレキギターのアルペジオをイントロに、静かにもう一本のエレキギターが断片的にフレーズを置く。

 いったん空白をはさんだ。
 そしてほんのりクラシカルな旋律を使って、エレキギターの呟きがしばらく続く。
 しっとりと孤独な雰囲気を漂わす音像は心地よい。

6)reluctunt angel

 ぺんぺん安っぽいギターをバックに、淡々とメロディを紡ぐ。
 語りとも違う。でもあまり起伏のないラインだ。
 ぴたりとハーモニーが吸い付くが、ほとんどの部分ではユニゾンに聴こえる。
 だからこそ、たまにハモるのが効果的。
 まったく盛り上がらずに終わってしまう。

7)telford to north main

 静かに音を重ねてゆく。ちょっとオフ気味だがリードギターのフレーズがきれい。
 イントロ一分は、それだけでりっぱなインスト曲だ。

 ボーカルが入ると、とたんに腰砕け。ジョン・レノンのできそこないみたいな歌い方でメロディを乱発する。
 これまた歌声がオフ気味。もっと手前へミックスすればいいのに。
 
 覇気のなさが魅力を下げている。演奏に気を配れば、もうちょいかっこよくなるはず。

8)a triumpf for clarity

 わずか40秒。
 一本のエレキギターが歪んだ音をストロークさせ、もう一本のエレキギターで思わせぶりなメロディを弾く。

 すぐさまフェイドアウトするのがもったいない。
 ソロを展開したら、いいサイケ・ロックになる。どうもこのバンドが音へ力を入れる時の、加減を間違ってる気がしてきた。

9)no more james dean

 a:アカペラのハモりがイントロ。そっとアコギで爪弾いた。
 b:どかどか派手なドラムとエレキギター。2〜3本重ねてるかな。

 この2つのブロックを交互に並べる。あんまり成功してない。
 必然性がほとんどなく、ミスマッチを狙うほど意外性もなし。
 
 2:36くらいで静かなブロックに、唐突にドラムが割り込むスリルはよかった。
 a+bのアレンジになったときのカタルシスを狙ったか。

 最後はaで〆る。ベタっと地に足をつけた歌い方がいまいち。

10)the differnce between listen and feel

 4分にもわたる長めの曲ながら、不思議と印象に残らない。
 どこが悪いというわけじゃない。普通のスローなロックだと思うんだが。
 きれいに整いすぎてるからこそ、だろうか。
 耳ざわりは悪くないのに、とっつき悪い。

11)telford reprise

 (7)のリプライズだが、今度はさらに短く30秒強。
 ギター2本の爪弾きが次第にフェイドインし、まともにボリュームが上がったところでフェイドアウト。なんなんだ。

 ネックを滑る音が11秒あたりで聴こえる。太い音だが、一本はアコギだろうか。

12)next exit ghost town

 アコギの弾き語り。バラッド調で悪くない。ぼくはこういうの好き。
 ほんのりロマンティックに歌い上げる。
 ぐっと耳を掴むサビがあったらもっと良かった。

 ほんのりリバーブを効かせ、呟くようにメロディへ言葉を置いた。

13)oxygen please

 ヘヴィロック風の重たいリフがイントロだが、歌が始まると拍子抜け。
 ぐっと力を抜いた声で、淡々と歌う。

 ところがサビになったとたん、この曲の魅力が登場する。
 めだたぬAメロ、ハイハットを軽やかになびかせつつも轟音系で鈍く進む伴奏。
 これら全てが、エンディングに向けて力を溜めてゆく。

 溜めて、溜めて。
 もったいぶり過ぎって気もするが。エンディングでギターソロががしがし騒ぐ。
 これはでっかい音で聴いたほうが、良さがわかる。

 フェイドアウト間際まで、あれこれ展開するアレンジが可笑しい。
 ならフェイドアウトじゃなく、コーダで終わらせればいいのに。

14)neighborhood of sirens

 サイレンと笛。避難させてるのか、誘導してるのか。
 けだるげな歌は、もしかしたら悲惨なテーマを歌ってるのかもしれない。歌詞カードなくてよくわからず。

 執拗にバックでサイレンが長く高く鳴り、アコギ一本のシンプルな編成で歌われる。
 沈鬱なメロディラインは、CDのラストを飾るにはあまりにもさみしい。

 奥でバスドラが鳴る。フェイドアウトは脈絡なく、あっけない。
 

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