Guided by Voices
"Zoom" Robert Pollard (2005:Fading Captain Series)
Written-By, Guitar, Vocals, Maracas - Robert Pollard
Guitar - Doug Gillard (tracks: 1)
Bass -
Chris Slusarenko (tracks: 2)
Bass, Backing Vocals - Doug Gillard (tracks:
4)
Drums, Backing Vocals - Kevin March (tracks: 4)
Recorded By ? Chris
Slusarenko (tracks: 2, 3), Tony Conley (tracks: 1,
4)
爽やかで混沌な一枚。
4曲入りEPで、二種類の録音がまとめられた。タイトル曲に混ぜて、コラージュ風の作品を並べた小品。スナップ写真みたいなEPだ。
続くリリースの"Music
for Bubble"が映画OSTだが、そのさらにアウトテイクか?と想像をたくましくしたくなる。
基本はロバート・ポラードの多重録音で、いくつかの楽器ダビングや録音に、GbVゆかりのメンバーがサポートした。仲間内の軽い気分な録音、かもしれない。
(3)は本盤発売の3年後、Boston
Spaceshipsの08年ライブで幾度か取り上げられた。Boston
Spaceshipsのレパートリー、な観点で。
<全曲紹介>
1. Dr. Fuji and
Henry Charleston (Zoom Variation)
曲はきれいだ。跳ねるメロディに軽やかなフレーズで寛げる。
ブライトなエレキギター二本の、牧歌的なインスト。メインがボブで、右チャンネルのオブリがダグ・ギラードかな。
なぜ歌も無くロバートが本作を録音したかって点では、非常に奇妙な感じだが。
2. Have A Day Mr. Clay
ざらつくリズム感のマラカスとアコギのストロークで歌う。穏やかなフォークになりそうなとこだが、サビ前で急にブレイクし刻みで緊迫させた。さらに2分半の小品なのに、後半の数十秒は音の悪い録音で男女の喋り。映画のサントラを狙ったのは、このへんか。
3. Catherine From Mid-October [Original Version]
なぜBoston Spaceshipsのライブでこれを演奏かというと、"The
Planets Are Blasted"(2009)に収録されたから。
だが本盤発売の05年にBoston
Spaceshipsは影も形もない。したがって[Original Version]の意味は、まったく不明だった。ボブの中では既にこの時点で、Boston
Spaceshipsが始動ってことか。音盤にならなかっただけで、地元ではライブやってたのか。
単に、のちに何かのアルバムへ入れるつもりなボブが、気楽に[Original
Version]とつけただけって気もする。
楽曲はアコギ中心のポップス。ストロークだけでなく、粒のそろったフレーズも加える綺麗なギターだ。ちょっとギターをかぶせてるが、基本は弾き語り。背後はギターの残響みたい。その質感のまま、やはり数十秒、歪んだ録音で会話が挿入される。
4. Zoom (It Happens All Over The World)
タイトル曲。ボブには珍しい、ギターが弾んだポップな曲。ポール・マッカートニーあたりが書きそうなフレーズ感だが、言葉多く連ねメロディがひたすら続く点がボブ印。
ベースやドラムがアクセントつけるが、ぐっと小さくミックスされ彩りくらいに留まった。
アルバムでは最後に位置するが、とてもキュートな良い曲。本盤だけで埋もれさすのは惜しい。