Guided
by Voices
"Weatherman And Skin Goddess"
Robert Pollard (2008:Guided By Voices Inc.)
Producer Todd Tobias
Instrumentation And Noises Todd
Tobias
Vocals Robert Pollard
個々の感想でも述べるが、実に粒ぞろいの3曲だ。
ボブの新レーベル"Guided
By Voices
Inc."から第一弾。そう、ボブはまだGbVの名を諦めていない。だが実際のGbV復活はここから4年後まで時間が必要だった。
そもそも本盤は、ソロ名義"Robert
Pollard Is off to business"の先行発売とされ、まさかこの直後に新バンドBoston
Spaceshipsの駆動すら、情報なかったと思う。
さりげなく発売された本盤だが。07年までのソロ活動を一区切りさせ、さらなる快進撃に向けた口火の盤、と時を経た今なら位置づけられる。
本盤は3曲収録のコンパクトなEP盤。タイトル曲以外の2曲は、本盤のみに収録された。CDで千枚、アナログで500枚限定だった。
<全曲感想>
1. Weatherman And Skin
Goddess
サビ前からダブル・トラックになり、きっちり高らかに歌い上げる元気な名曲。
キャッチーなロックンロール。第一次/後期GbV名義で発売されてもおかしく無い、ボブ流メロディセンスが炸裂した、ポップな仕上がりだ。直前までのソロに見られる凝ったアレンジや新奇性狙いは無い。
あくまでもライブ映えする、シンプルで前のめりな味わい。カッチリまとまったアレンジで、明確にボブはバンド・サウンドを意識した。
もっともサウンドはソロ名義体制のまま。トッドがトラックを作り、ボブが歌う。シャキシャキしたシンバルを軸に、トッドは相変わらず見事な一人バンドのグルーヴを聴かせる。
2. Kiss The Quiet Man
まさに埋もれた名曲。EP盤にボブが収録しがちなアヴァンギャルドさと逆ベクトル。凄くポップだ。本盤のみでライブ演奏も無いようだが。
アレンジ方向性は(1)と同様。さりげない多重ボーカルの和音感も爽快だ。最初に広げて、次にトリル風に二音を上下させ畳み掛ける構成も良い。
力一辺倒でなく、終盤にブレイク入れたりバンド風ながら丁寧にアレンジされた。フェイドアウト間際にタムのフィルを次々入れる技も、セッションっぽいなあ。
3. Coat Factory Zero
これも冒頭のノイズを抜けたら、バンド風にポップなアレンジへ変わる。
ミックスは潰し気味だし、全体の曲調も少々暗いけど。メロディは輪郭を綺麗に描き、良くあるボブの一筆書き要素は皆無だ。
大サビでのメロディがモゴモゴッと耳ざわり良く、密やかに盛り上がるところが良い。
アレンジも見事。緩急利かせつつバンド風で疾走し、おもむろにブレイクして、アコギのダビングにガラリ風景変える。このエンディングが繊細で効果的だ。