Guided by Voices

"Edison's Demos" Robert Pollard (2004)

All songs written & performed by Robert Pollard
Record at the Warfleigh Labs by lunation on October 13, 2002

 ローファイの極致。まさにデモ集、かな・・・?

 02年10月13日に録音された"Earthquake Glue"(2003)のロバート・ポラードによる弾き語りデモ集。1000枚限定のLPにて自主製作扱いで頒布された。どうせなら恒久的に聴ける環境にして欲しいものだが、それならば公式盤を聴けってスタンスなのだろう。
 ボブのソロが怒涛のリリースを始めるのは06年。この時点では数枚しか出ておらず、ボブのソロって企画そのものがいがいと新鮮だった。

 "Earthquake Glue"の前身、"Model Prisoner In The Five Senses Realm"と仮題でアルバム情報が流れだしたのは、03年3月ごろ。実際のリリースは8月。ぱっと作ってすぐ出すってイメージだったが、実際はもう少しじっくり作ってたようだ。バンド本体のアルバムだし、"Earthquake Glue"はかなりアルバムが作りこまれていた。

 もっともこのデモ集が、アルバム制作に先立つ収録なのか、単に新曲がまとまったためにメモなのかは分からない。
 "Earthquake Glue"に収録の15曲中、本盤に未収録は"The Best Of Jill Hives","Of Mites and Men","My Kind of Soldier"。本盤からシングル"My Kind of Soldier"、"The Best Of Jill Hives"の双方が本盤へ未収録ってのが興味深い。
 キラー・チューンをあとから書いて、アルバムのコンセプトにまとめたと伺える。

 逆にこれらシングルのB面でアルバム未収録曲は、"Broken Brothers","Free of This World","Downed"は本デモ盤に未収録。その日に録音もしてなかったのか、アルバム未収録だから省いたのか、どちらだろう。
 デモ集一つとってみても、本盤で明らかになったことと発表されなかったこと、それぞれ想像をかきたてられて楽しい。

 演奏はアコギもしくはエレキの弾き語り、だと思う。別録ではないような。シンプルなストロークを中心に、ときどきフレーズめいたものが入る。基本はリフ一発。
 クリアなトーン一辺倒でなく、時には歪ませたりとギターの音色にも気を配った。
 完成形のGbVも簡素なリフが特徴だが、この盤を聴くとデモの段階からリフ的なものが存在し、アレンジもボブのアイディアを文字通り膨らませたんだ、と感じる。

 ただし完全な弾き語りではなく、コーラスのダビングなど多少は小技を利かせた。このへんに、本録音の素性を考えてしまう。公式発売でも、"スーツケース"音源でも、ボブはデモに毛が生えた音質と編成の作品を発表することもあった。もしかしたら、これもそんな一枚の予定だったのか、と。

 実際は間違いなく、デモだろう。いかなボブでも簡素すぎる。それと歌声。本チャンのテイクにしては、今一つ覇気に欠ける。テクニックの問題ではなく、テンションの観点で。
 しかし単なるデモだとしても、ボブ流のきれいなメロディと飾らない録音姿勢につい、妄想を膨らませてしまう。

 基本的にデモ音源ってのはオマケ要素だ。だがボブならば、それを原石に表現できる。
 まさにこれはそんな一枚。本盤よりも"Earthquake Glue"を勧めるけれど。本盤は、ファンにとってならば、単なるオマケ以上のものになる。

Track list
A1 Mix Up The Satellite
A2 I'll Replace You With Machines
A3 Beat Your Wings
A4 Useless Inventions
A5 Dirty Water
A6 She Goes Off At Night
A7 She Goes Off At Night (Vocal Only Mix)
A8 Dead Cloud
B1 My Son, My Secretary, My Country
B2 A Trophy Mule In Particular
B3 Main Street Wizards
B4 Main Street Wizards (Homemade Click Track Mix)
B5 Blasted But It's Easy
B6 Apology In Advance
B7 Secret Star

(2018/6:記) 

GbVトップに戻る