Guided
by Voices
"Demons And Painkillers" Guided by Voices
(2003:Matador)
レアトラック集で、副題が"Matador Out-of-Print Singles,
B-Sides & Compilation
Tracks"。なんだかんだで発売当時の03年頃は、往年のGbV関連盤は入手困難なものもあった。そもそも限定盤やコンピに提供ってものもずいぶんあったし。
出しっぱなしで聴衆の入手性って意識してないのかよ、と手に入らず恨むこともあったが。こうしてまとめて聴けてありがたい、ほんとに。
楽曲はアウトテイクと言いながら充実したGbVの音源だけに、聴きどころ多いものもいっぱい。もちろん、デモめいた投げっぱなしの曲もあるが。代表曲の7"テイクもミックスが異なり、単なるテープ編集だけに留まらない。あまり希少性を持ち上げる必要はないが、マニア向けと切り捨てるには惜しい音源集だ。
もっともGbV初心者にはお薦めしない。重箱の隅が好きな方向け。あくまでもGbV本流を楽しむには、オリジナル・アルバムからだ。
<全曲感想>
1.Motor Away [7" Version]
95/6月発売のシングル・テイク。アルバム"Alien
Lanes"(1995)に収録の、GbV代表曲の一つ。アルバム版に比べ、10秒ほど長い。ふつう、シングルってアルバムより短いのに。このへんの逆転現象が、GbVのおかしさだ。
シングル盤はベースのフレーズがメロディアスに強調され、もっと複雑な響きの印象を受けた。抜けはシングル盤の方が悪いけれど、重心を低くし力強く鳴った。
2.Color Of My Blade
没の未発表アルバム"Mustard Man & Mother
Monkey"(1995)に収録予定が当初の発端。結局は(1)のB面で発売、その後はレア曲になっていた。
けっこうキャッチーなギター・ロック。ダブル・トラックのボーカルと歯切れ良いバッキングのアレンジは、ひとひねりしたアレンジだ。本当のアウトテイクっぽい。甘いメロディを短いフレーズで畳みかける、ミドル・テンポの佳曲。
3.My Valuable Hunting Knife [7" Version]
95年にマタドールのプロモ・シングルで発表のテイク。その後EP"Tigerbomb"(1995)で日の目を見るも、やはりレア曲の道へ。"Under The
Bushes Under The Stars"(1996)のボートラで発売された国もあったらしい。"Alien Lanes"で発表済の曲。
これも(1)と同様にシングル・テイクのほうが25秒ほど長い。ミックスを変え、モコってるが落ち着いた雰囲気。もしかしてシングル・テイクをピッチ上げたのがアルバム・バージョンだろうか。
ミックスは明らかに異なり、本盤ではざらついた味わいを生かしてドラムも強調した。1分10秒くらいから、テープ編集で別テイクをつないだかのような、奇妙な寸断あり。
4.Game Of Pricks [7" Version]
(3)と同様、"Tigerbomb"や"Under The
Bushes〜"のボートラでのみ発表された曲。原曲は(1)と同じく"Alien Lanes"に収録な、GbV代表曲だ。
アルバム版に比べ45秒近く長いテイクだ。イントロを付け加えた本テイクは、今一つ覇気がない。このアレンジこそがライブでも演奏の正式曲と思うが。
本盤は音像がスカッと抜けて気持ちいい仕上がりになってる。アルバム版よりキャッチーさが強調された、良いテイクだ。
5.Mice Feel
Nice (In My Room)
これも"Tigerbomb"収録曲。アナログのみの発売で、レア盤だった"Tigerbomb"収録曲がまとめて聴けるのはありがたい。フェイドインで始まる、曲の途中を抜き出したような作品。
鍵盤のアルペジオをバックに、ロバートがコブシを効かせて歌う。メロディ寄りむしろ作詞に合わせ即興でメロディを付けてるかのよう。それにしちゃ、どのフレーズもメロディアスすぎるが。
ひしゃげた音質で、デモテープをそのまま楽曲に仕上げたかのよう。とはいえ意外と作りこまれた感触もある。不思議なムードの作品だ。
6.Not
Good For The Mechanism
"Tigerbomb"収録で"Under The Bushes〜"のボートラ曲。
調子っぱずれに歌が始まる。重たいエレキギターと、やたらパシャパシャな音のドラム。中盤で楽曲の雰囲気こそ変わるが、これまた即興的な展開の香りがする。
音像がボロボロゆえに分かりにくいが、フレーズ毎に楽曲の色合いがガラガラ変わる。ラフなアレンジだが、きれいに作りこんだら面白いサイケな曲へ変わると思う。
7.Kiss Only The Important Ones
"Tigerbomb"収録で"Under The
Bushes〜"のボートラ曲。エレアコの弾き語りっぽいイントロで、サックリ歌われる。華やかなサビ・メロディが欲しくなるが、残念ながら平歌だけで終わるイメージ。
時々聴こえるハウリングが、たまに高らかに響く。それが抜群のアクセントだ。エンディング前のブレイクの瞬間も良い。
8.Dodging
Invisible Rays
"Tigerbomb"収録で"Under The
Bushes〜"のボートラ曲。ここまでで"Tigerbomb"が全て、収録された。バンド・サウンドできっちり録音された。ダブル・トラックの凝ったアレンジにキャッチーなメロディは、文字通りのアウトテイクではないか。
ひときわ冴えてた"Under The Bushes〜"時代は、瑞々しい旋律が次々にあふれてくる。
ミドル・テンポでギターを生き生きとうねらせるサウンドも見事。本編に入っても違和感ないだろう佳曲。
9.Deaf Ears
ここから3曲、"The Official Ironmen Rally
Song"(1996)CDシングルのカップリング。当時はオリジナル・アルバム未収録曲が、今回全て収録された。
フィルター処理めいた風きり音をイントロに、デモっぽいはじまり。左で執拗にギターリフが続き、右にリバーブどっぷりのボーカルが入る。少々サイケだがポップになりそう、でも左のミニマルなギターリフが・・・と思ってたら、いきなりボーカルが中央に定位。
音色を変えて右でも同じギター・リフが重なる。そして1分20秒あたりでドラムも入りバンドっぽい仕上がりに。実際には左のギターがドラムに変わり、右がストロークに変化のみだが。
たぶん4トラでさっくり録音だ。けれども曲の雰囲気で、聴かせる。
10.Why Did You Land
冒頭からバンド・サウンド。アルバムのアウト・テイクっぽい仕上がりだ。濃密にワンワンとギターが鳴り、空間を埋め尽くす。ボブの歌は一筆書き路線で、穏やかにメロディを置いていく。オクターブ上げて高らかに盛り上がりそうなのに。ここではなぜか、じっくりとパワーを抑えた。
大サビなく展開するため、2分強の時間でも長く感じた。
11.June Salutes You!
バンド・サウンドだが奇妙にローファイなイントロ。しかしボーカル入る直前から急に、ハイが強調されスッキリした音像に変わる奇妙なミックスだ。
歌は一筆書きっぽいが、場面ごとにアレンジを変えてヌケのいいロックに仕立てた。
サビの"Hey!"って掛け声が好きだ。ひとときも休まず変化し続ける名曲。
12.Delayed Reaction Brats
ここから3曲は、1996年にSuperchunkとのスプリット・シングルのみに収録だった。"Under The
Bushes〜"のボートラ曲で発表された記録もあり。
一分強の小品。初手からパワー・ロックで押すが、サビでぐっと面を上げて力強く響かすメロディのセンスがいい。
雑な音質の録音だが、楽曲の構成は良い。
13.He's The Uncle
ダブル・トラックのズレまくりな瑞々しい歌声が、すごく魅力的。イギリス風のポップなメロディに、鷹揚なアメリカン・ロックのアレンジを施した。
サビでクリーンなのと掃除機みたいにノイジーな二本のギター・ソロを混ぜるアイディアも楽しい。レア曲にしとくには惜しい良い曲だ。
14.Key
Losers
上の2曲と異なり、厳密にはこの曲だけアルバム"Tonics & Twisted Chasers"(1997)に再収録された。
アコギ数本を重ねた弾き語り曲。さらにハーモニーも数回重ねてる。弾き語り、とは言わないか、それならば。
甘酸っぱいボブのメロディ・センスが炸裂した。シンプルなアレンジだが、とてもきれいな曲。きっちりアレンジして欲しかった。とにかく微妙にピッチやタイミングずれてるハーモニーが、鮮やかな楽しい雰囲気を強調した。
15.Postal Blowfish[New Version]
カナダ/米コメディ映画"Kids in the Hall: Brain
Candy"のサントラへ提供した。
原曲は5枚組の"BOX"(1995)の未発表曲集"King Shit and the Golden
Boys"で発表済。長らくライブで取り上げられるレパートリーの一つ。
本盤のほうが、いくぶんピッチが低く落ち着いたムードを出す。アレンジは一緒だが、"King Shit〜"より明らかに音質が向上してる。再録音かな。
16.Unleashed! The Large-Hearted Boy [Live]
オリジナルは"Propeller"(1994)所収、ライブでいくども取り上げられた。
聴き比べできてないが、最初はマタドールがイギリスで千枚限定シングル"Cut-Out
Witch"(1996)のB面らしい。録音は95年8月にワシントンDCのFMラジオ局WHFSで演奏とある。
のちにスプリットCD"8 Rounds:
GVSB vs GBV"(1997)で再発されたが、そのままレア曲へ。
ボーカルがオフ気味のミックスが残念。とてもポップで盛り上がるロックンロールだ。華やかでハッピーな世界が広がる。シンプルなフレーズを重ねて、盛り上げるリフ作りも聴ける。
17.Some Drilling Implied [Live]
上記と同じ"Cut-Out
Witch"(1996)のB面で、オリジナルが"Propeller"の曲。
ドス声で勇ましく歌われる。サビでくるりと風景変わり、歌声も変化。荒っぽいアレンジだがポイントは外さず、生き生きと演奏した。あまり意識したことない曲だったが、これはいいな。
18.Systems Crash
ここから6曲がマタドールからのアナログEP盤"Plantations Of Pale
Pink"(1996)の収録曲。
ひしゃげた音色でゆったりしたロックを聴かせる。ボーカルがトラックに埋まり気味だが、メロディはハイトーンできれいなボブ節。ダブル・トラックで高らかにハイトーンを歌い上げた。
リズムボックスみたいな軽いドラムと、スカスカな音像でギターがうねるアレンジが、すごく極端なローファイで楽しい。
19.Catfood On
The Earwig
ザクザクしたギターと、エコーまみれのうっすらしたボーカルの曲。一筆書きメロディ風に、次々に旋律が展開する。ギターは感想ながら、好き放題にストロークを効かせ単体でも十分な存在感を出す。
1分過ぎにいったんブレイク。小品のGbVらしく終わるかと思ったら、また違うメロディ・モチーフを持ち出して派手に展開した。1分半過ぎでおもむろにドラムも登場。裏拍で力強く叩く。
いやはや自由奔放なGbVらしい曲だ。
20.The Who Vs. Porky Pig
こじんまりなデモ録音みたいなアップ・テンポの楽曲。ドラムはリズム・ボックスっぽい。ギターをかき鳴らし、つぶやくように起伏の少ないメロディをつぶやいた。
サビでの鮮やかな展開が、この曲の肝。ダブル・トラックでさりげなくばらまくメロディがキュートだ。
転がるギター・ソロといい、アレンジは何気に凝っている。これをあえてザクッと荒っぽく録音が当時のGbVの特色だ。
21.A Life In
Finer Clothing
イントロをぶった切ったように唐突な幕開け。ミドル・テンポで切なげに歌いかける・・・はずが、ざらついたエレキギターのストロークが、やたらとっつき悪い仕上がりに。
メロディを滑らかに補完するベースのフレーズも良い。非常にハイを強調の硬いミックスで、ここでもやはり溢れるメロディを次々に歌っていった。
22.The Worryin' Song
カセット・テープ録音か。ヒスノイズや唐突に始まる録音が、いかにも。
前の数曲と比べ、けっこう抜けの良い音像だ。ボーカルがきれいにエコーかかり、まっすぐ存在感を出した。性急なギター・ストロークがアレンジ主体な1分の小品。
一筆書きメロディで手なりに盛り上がり、曲を終わらせた。途中でギターをもう一本ダビングし、アレンジに膨らみを持たせる。
23.Subtle
Gear Shifting
サイケに軋むギターがイントロのロック。絞り出すようにボブは曖昧なメロディをつぶやいた。潰れてわかりづらいが、ドラムにベース、ギター数本ときっちりコンボ編成にアレンジされてる。
酩酊の煙った空気が充満するムードな音像で、ボブがゆっくりとメロディを展開した。これも一筆書きメロディっぽいな。不透明で見えにくいけど、サビっぽい場面の旋律は意外と牧歌的でキャッチーだ。
24.Finks
"Under The Bushes〜"の日本盤にボートラで所収。
ほんのり中期ビートルズっぽい、作りこまれたサウンドだ。ボブの声は妙にしゃがれてる。テープ・スピードをわずかだけ遅くしたような。シンプルに連打するドラムのフィルが、ゆったりグルーヴするこの曲に、ぴたり似合ってる。
曲としてはあまり派手に盛り上がらないが、すうっと着地しドラムの連打で次に移るあたりのアレンジはかっこいいと思った。
25.The Finest
Joke Is Upon Us
"Under The Bushes〜"の日本盤にボートラで所収の曲だが、(24)と異なり、この曲って"Mag
Earwhig!"(1997)に収録された。聴き比べてみたが数秒の差はあるけれど、同じテイクっぽい。ボブが間違えて本盤へ収録?それともどこか違うのかな。
わずか引きずるようなダルいムードだが、ボーカルに力あるため退屈さはない。複数の曲を混ぜたみたいにドラマティックな展開をする。
この曲も前曲同様に、ボブの歌声はちょっとしゃがれてる。ハイトーンで突き進む割に、こういう音域でも歌える。ボブの歌唱力の幅を見せたか。
26.The Singing Razorblade
ここから3曲が英のCDシングル"Bulldog
Skin"(1997)に収録。本盤は少々探せば手に入るが、やはりこうして簡単に聴けるのは有難い。
別の曲へダビングしたかのごとく、奇妙に馴染まない静かなコーラスがへんてこだ。ボリューム上げるとわかるが、ローファイに聴こえて丁寧に作りこまれた曲。
メロディは投げっぱなしの一筆書きスタイル、軽やかなドラミングと数本のギター・ストロークでテープ逆回転も使用した酩酊サイケ・ロックを手短に展開した。
27.Now To War [Electric Version]
"Mag
Earwhig!"(1997)では趣あるアコースティックな楽曲が、ここではライブ風の荒っぽいエレキギター・リフで彩られた。甲乙つけがたい。静かなアコースティックも、初手から滑らかに歌うこっちのテイクも良い。
こういうアレンジで聴くと、ライブ映えする佳曲と思う。Aメロが展開につれコードが変わっていき、ふくよかで温かい響きを本アレンジでは効果的に聴かせた。
中間のソロも、ディストーションたっぷりに歪んだパワフルなフレージングだ。
28.Mannequin's Complaint (Wax
Dummy Meltdown)
フランジングする歌声で、ドラムをぐっと前面に出した歯切れ良い曲。すっと楽器が消えて、きれいな鍵盤和音のみに切り替わる瞬間のアレンジが好みだ。
ざらついた音像ながら、きっちりアレンジされたロック。まさに"Mag
Earwhig!"(1997)のアウトテイク、かな。埋め草なデモテープめいた楽曲ではなく、きちんと作りこまれた。
中盤でシンプルなギター・リフと対照的に、下降する鍵盤も効果的。
最後にセンチメンタルなオルゴールに導かれ、一分弱の混沌としたリフレインを混ぜたアウトロがなんだか珍しい。"Mag
Earwhig!"(1997)は前作と一転、コブラ・ヴェルデのメンバーへ総とっかえしてタイトさを増した。その流れの楽曲だ。
29.Do They
Teach You The Chase
以降の3曲がシングル"I Am A Tree"(1997)のアルバム未収録曲。
細かい譜割がボブっぽくない。メロディがきらきらと展開しながら、高らかに舞った。アコギを軸のサイケな展開で、リズムのじりじりと滲む色合いが美しい。
一分強の小品だ。細かなノイズがサウンドに厚みを与えてる。
30.(I'll Name You) The Flame That Cries
三連符のアコギ爪弾きとシンセのひよひよした音色。ある意味オーソドックスなギターだ。ずしんとベースが鳴る。メロディはギターに寄り添わず、独特の譜割でゆったりと紡いだ。
間の多い歌声で、空間はせわしなくギターのアルペジオが占めた。厳かでサイケな楽曲。
一分半経過したところで、ドラムが加わり一気にムードはロックに展開する。のぺっとしたイメージながら、何気に惹かれる凝った造りだ。
31.The
Ascended Master's Grogshop
しっとりと鍵盤が鳴る。エレピの音色はひしゃげて、ざらついたムードを出した。ハイトーンで滑り込むメロディは素晴らしく美しい。ボブらしからぬ丁寧な作りだ。
おっと思わせたら、いきなり余韻。延々と余韻が続く。具体的には54秒の全尺中、21秒が残響だ。
出落ちみたいな小品。すごく綺麗で魅力的なのに。まさにはしごを外された。ボブの作曲の罠に、見事にはまった。
32.My Thoughts Are
A Gas
マタドール所属ミュージシャンのレーベル紹介な2枚組コンピ"What's Up Matador?"(1997)に提供の未発表曲。
オーソドックスなミドル・テンポのボブ節なロック。リズムが落ち着いてるせいか、どこかアダルトなムードを漂わす。サビでの転調しながら緩やかに上昇するアレンジも滑らかに成立した。ただ全体バランスでいうと、ギターリフの比率が多め。少々大味だ。まるで歌いながらアドリブでメロディを一筆書きで作っているかのよう。
33.Running Off With The Fun City Girls
これと次の曲が"Mag
Earwhig!"(1997)の日本盤に収録のボートラ。日本盤は安い輸入盤と差別化のためボートラが頻繁につくが、結果的にこうしてレア曲になってしまう。だからこそ、のボートラだが。
歯切れよくまくしたてる。演奏は力押しでなく、途中でアルペジオ中心の場面も混ぜて、メリハリを付けた。ほんと、本盤がらみのアレンジはよく練られてる。
ハイトーンをみずみずしく跳ねさせるボブの歌声は力強い。けれど、メロディが今一つくすんでるのがアウトテイクになった次第かな。
34.None Of
Them Any Good
メインの歌や伴奏と、全く別次元の譜割でギターがざわめき奇妙なポリリズムを生み出した。GbVには稀なアレンジ。そしてサビで一気に合流し盛り上がる、という。
終盤のメロディはあとかぶせの歌声。ギター数本重ね、ボーカルも録音を繰り返す。デビュー当初の投げっぱなしとは違う次元だ。
なおGbVはなんだかんだで、この後は作りこむアレンジが多くなる。だからボブは煮詰まってソロへシフトしたのかも。ふっと、そんな考えがこの曲聴きながら浮かんだ。
35.Choking Tara [Creamy Version]
マタドールの10周年記念コンピ"Everything Is
Nice"に提供したバージョン。もとは"Mag
Earwhig!"(1997)に投入された一分半の曲。オリジナルはエレキギターの弾き語り風にざくっとアレンジされていた。僕はどっちかといえば、"Mag
Earwhig!"(1997)バージョンのラフなほうが好み。
本テイクは総時間も45秒ほど伸び、2分15秒の尺となった。若干テンポを速め、オリジナルのギターは背後に薄くミックス。リズムやギターを足して、コーラスまでダビング。ぐっとポップに仕立てたのが本バージョン。どっちが完成度高いかといえば、こっちのテイク。
とはいえそもそも完成度が高い"Mag Earwhig!"(1997)で、敢えて横並びに練ったアレンジの投入を嫌ったか。。