Guided by Voices

ASK THEM/LEXO AND THE LEAPERS(1999:LUNA)

Robert Pollard - vocals & guitar
Gale Bonham - guitar
Tere Lerma - bass and solid quips
Jay Madewell - drums

ロバートの個人プロジェクト、「イン・ザ・フェイディング・キャプテン・シリーズ」の第二弾となった、ミニアルバム。
録音は99年4月7日に地元のデイトンのスタジオで、たった一日だけで録音された。作曲はすべてロバートによる。
音質はまた、デモテープ並に荒っぽい。
このバンドとしての活動はよくわからない。このアルバム一回こっきりじゃなく、継続して活動してるバンドかな?

プロデュースはクラブミート・イズリアル。と書いてみたが、実は誰なのかまったく知りません。ご存知の方、ご教示お願いいたします。
ジム・ポラードほかのクレジットもあるから、もしかしたら演奏に参加しているのかも。
アップ、スロー、アップと緩急を考えた曲順は練られてると思う。
でも、それだけがプロデューサーの役割じゃないしなあ。

メンバーは上記のとおりだが、この面子によるバンドの必然性はなんだろ。思うに、「よし、こんな曲があるから録音してみようぜ」って軽い気持ちじゃないのかな。
いわば、ある日のロバート音楽日記の風情だ。

演奏は荒っぽいし、なによりヴォーカルがかなりフラットしてる。
アレンジも、もう少し煮詰めればかっこよくなるのに。
「もっと、もっと!」って、もどかしさがつのっていく。

だけど、ロバートはそんなことは気にせずに、かろやかに曲を演奏した。
ロバートの無造作な音楽活動の一端を味わうには、いい一枚だろう。
とはいえ名盤とはいえない。ファン向けの音源だけどね。

<各曲紹介>

1)Time Machines

このミニアルバムの中では、一番ビートがしっかりしている。
アップテンポのいかしたロックンロールだ。
アレンジをもう少し煮詰めて、ブレイクを効かせたらさらにかっこよくなるだろうにな。
バシャバシャしたドラムに乗って、なめらかな歌声が舞い上がる。
ヌケがよくてうきうきしてくる曲だ。

2)Alone Stinking and Unafraid

メドレー形式でギターの静かなコードストロークが流れる。
ラジオからエディットしたような語りをきっかけに、エレキギターのころころした穏やかな単音リフに変化する、そしてヴォーカルがおもむろにつぶやく。

一呼吸置いて、荒々しく演奏がはじける。かぶさるコーラスが魅力的だ。
たぶん多重録音の二声だけど、とても効果的に響く。
そのコーラスのフレーズを、曲の冒頭に流れたエレキギターの単音リフに乗って、一人でぼそっと歌い、あっさりと終わる。
終わり方のさりげなさが、かっこいいな。

3)Plainskin

ざっくりした肌触りの曲。
アイディア一発で、なんてことない曲なのにな。
ロバートのなめらかなメロディの底力が、退屈にさせずに最後まで聴かせてしまう。
ロマンチックな雰囲気をただよわせ、あっさり流して終わっちゃうけど。
もっともっと煮詰めて欲しかった。

4)Will You Show Me Your Gold?

重たいギターのフレーズが、フェイドインで持ち上がる。ゆったりと雄大な感触がした。
荒っぽい部分こそあるが、基本的には丁寧に録音されている。
エコーを聞かせたロバートの歌声が心地よい。
曲の展開はほとんどないのに、最後までじっくり聞いてしまう。
アレンジのセンスがすばらしいせいだ。

だからこそどったんばったんの、リズム感が悪いドラムは小憎らしい。
ハイハットがスパっと切り込んでくれたら、この曲はどんなに良くなることか・・・。
エンディングにかぶせたシュプレヒコール風のSEは、小技が効いている。
このアルバムの中では、いちばん好き。

5)Fair Touching

軽快なギターリフが、まず印象に残る。
なぜか録音がすべてオフで、壁の向こうの演奏を録ったみたいだ。
薄っぺらく、厚みがまったくないのが残念。
この曲もメロディにパンチがあるし、コーラスを多用したアレンジだってナイスなのにな。

「録音が悪いけど、かまうこたない。曲がいいから、オッケオッケ」って収録しちゃったんだろうか。
それともロバートは録音の音質には、あんまり注意を払ってないのかな。
どちらにせよ、おおらかでいいことだ。リスナーとしては、欲求不満がたまることもあるけどね。

6)Circling Motorhead Mountain


ミニアルバム最後の曲は、間を生かしてくきくきしたイメージの小品。
わずかにスローなアレンジのリズムに乗って流れるメロディは、歌詞の単語毎にぶつぶつ切られているようだ。
アルバムタイトルの「アスク・ゼム」は、この曲の最後で歌われる。
思い入れはまったくない。エフェクト処理したヴォーカルで、実にさりげなく喉に歌詞が乗る。
そして、そこから曲が展開すると思わせて、あっさり終わってしまうんだよな。
いかにもロバートらしい、「演奏しっぱなし曲」の好例だ。

 GbVトップに戻る