Guided by Voices
I AM A SCIENTIST(1994:Scat)
Robert Pollard - guitar & vocals
Tobin Sprout - guitar, keyboards & vocals
Jim Pollard - guitar
Mitch Mitchell - guitar
Greg Demos - bass
Kevin Fennell - drums
この年、GbVはスプリット盤を含めて4枚のEPを発表している。
それぞれ違うインディ・レーベルからリリースされているけれど、この盤だけは、お膝元のSCATからリリースされた。
タイトル曲は「Bee Thousand」に収録されている。とはいえ、単にアルバムのテイクを収録しない凝りようがうれしい。
コレクターに気を使ったのか、単純にあふれる創作意欲が抑えられないのか。さて、どっちだろう。
同年にリリースされたほかの3枚のEPは聴いたことがないから、このEPと出来栄えを比較できないけれど。
すくなくともこいつはきっちりと構成された、いいEPだ。
個々の曲のメロディもいいし、演奏も(ほぼ)こなれてるしね。
<各曲紹介>
1)I Am A Scientist
アルバムとは別テイク。細かいクレジットはないが、どこかで演奏したライブ・テイクだ。
名曲なだけに、きっちりとして落ち着いた演奏は、聞いていてほっとする。
テンポはわずかにゆったりめ。ロバートの声のピッチもしっかりしている。
ブレイクを多用して、一丸となってまとまっていくアレンジが、見事にはまっている。どの楽器も平等に聞かせるミックスだ。
タムが「ぱんっ!」って入る瞬間は、何度聞いてもかっこいいなぁ。
2)Curse Of The Black Ass Buffalo
ここからはスタジオ録音。まずは甲高く歌い上げるスローテンポの曲だ。
語りっぽく、ロバートが歌う。
バックはギター一本のシンプルなもの。
演奏はコードストローク中心なのに、緩急を効かせて飽きさせない。
歌声にぴったりはまり込み、ヴォーカルと二人三脚で曲を盛り上げる。
3)Do The Earth
スローとアップのビートを交互に聴かせるアレンジの曲。
タイトなバンドサウンドになっている。
ゆったりと静かにイントロを奏でて、歌が始まった瞬間に駆け上がるところがすてきだ。疾走感が魅力的なんだよね。
4)Planet's Own Brand
最後をつとめるのは、ちょっとどたばたするロックンロール。
ヴォーカルはオフ気味だけど、起伏があってきれいなメロディだ。
だのに、演奏が荒っぽいから残念。とはいえ、繰り返し聴いてると、味が出てくるんだけどね。
きっちりアレンジを煮詰めて、それぞれの楽器の役割分担を決めたら、かっこいい曲になると思うのにな。
インタビューによると、ロバートは「ファーストテイクが一番いい」って思ってたらしい。そのほうが曲の初々しい魅力を逃さないからって。
そんなロバートのスタンスが、顕著に表れた録音なのかも。