Guided by Voices

Egomania (Love Songs)/Cobra Verde(1997:Scat)

Don Depew - bass,guitar,static noise
Doug Gillard - guitar,vocals,keybords
John Petkovic - vocals,guitar,keybords
Dave Swanson - drums,guitar

Robert Pollard - vocals on 3

 これは、バンドサウンドがきっちり成立したアルバムだと思う。
 くわしい情報がなく、コブラ買Fルデのキャリアの中で、本アルバムの位置づけはいまひとつわからない。

 でも、過不足なく、バンドが総力戦で作り上げてみせた感触がある。
 弱点は、曲が弱いこと。その弱さがすべての面で足を引っ張る。

 たとえ一曲でもとてつもない名曲があると、印象的なアルバムになったのに。
 いい意味でも、悪い意味でも、とがったところがなくて個性に欠けるアルバム。 

<各曲紹介>

1)Everything to you

 威勢のいいロックンロール。ドラムがちょっともたつくのがつらい。
 ヴォーカルは力任せにがなりたてず、緩急を効かせて単調にならぬように気を配っている。
 だけどメロディに、あと一歩パワーが欲しい。

2)A story I can sell

 パンキッシュにギターがはじける。
 メロディが単調で個性に欠けるけど、けっこうかっこいい。
 ライブでこの曲やったら、盛り上がるだろうなぁ。
 スタジアムみたいに大きなホールほど、この曲って映えると思う。

3)Still breaking down

 サビで群唱を始めるところが、めちゃくちゃかっこいい。
 作曲にメリハリをつけ、アレンジも細かいワザをいろいろ入れて、気を配っているのがわかる。
 シンセを隠し味的に使い、音色が単調になるのを避けたのがいい。
 とはいえ、これはシングルカット向けじゃないだろうなあ。 

4)Leather

 ブルーズ風に、強引に唸るヴォーカルがキーポイント。
 ドスを効かせて、最初から最後まで勢い勝負で持っていく。
 バックの演奏は、いたずらにギュオンギュオン盛り上げず、力を抜いて勝負している。

5)Underpants

 切れのいいリフが爽快な、パンク風味のロックンロール。
 ヴォーカルのパワーが足りないので、どうも腰砕けになるけど・・・。
 アイディア一発だけど、かっこいい。

6)Blood on the moon

 もやもやとしたリバーブを演奏にかぶせ、サイケな雰囲気を全体で醸し出している。
 ほわん、ほわんとはずみながらも、リズムはタイト。
 こういうアレンジって、妙に惹かれます。
 歌のメロディは、あって無しがごとし。でも、雰囲気がいかす。

7)Until it`s gone

 アコギの弾き語りから始まる、静かな雰囲気の佳曲。
 微妙にリバーブをかけたような歌声がキュート。琴線にふれまくり。
 すっとんきょうなファルセットに変わる中盤の構成もいい。
 マラカスやキーボードをそっとかぶせ、次第に厚みを帯びていくアレンジも練られている。
 エンディングでじわじわ流れるギターソロまである。いいなぁ。
 ぼくはこの曲が、このアルバムでは一番好き。

8)For my woman

 ベートーベンの「運命」をリフにしたようなイントロで始まる、重たげなロック。
 歌声は、やけくそのように叫ぶ。メロディはあまり感じさせない。
 全般的に退屈な曲だ。ギターソロの音色は、けっこういいんだけどな。 

9)Chinese radiation

 ほぼインスト。時折思い出したように、語り風の歌声が入る。
 アレンジは練られているけど、なんだかカラオケを聴いているような気もした。
 エンディングの幕引用につくった曲ってイメージかな。

10)Never my love

 67年にアソシエイションズが、全米2位までヒットさせた曲のカバー。
 作曲クレジットはドン・デピューのオリジナル扱いになってるけど。
 唐突になぜ、よりによってこの曲をカバーする・・・。
 個人的に、この曲はメロウすぎてあんまり好きじゃない。
 アソシエイションズなら、もっといい曲いっぱいあるのに。

 しかもコーラスがまったく入ってない。オルガンで厚みを出すアレンジだ。
 ハーモニー無しに、なぜ選曲する・・・って突っ込みたくなるぞ。
 う〜む・・・中途半端だ(苦笑)

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