Guided by Voices

Vintage Crime/Cobra Verde(1996:Scat)

Don Depew - bass,acoustic guitar,vocals,short wave
Doug Gillard - electric guitar,acoustic guitar,vocals
John Petkovic - vocals,electric guitar,roland sh1000
Dave Swanson - drums,percussion,electric guitar

Chris Brokaw - electric guitar on 6

 サイケなハードロックに傾倒したミニアルバム。
 デビューアルバムを94年にリリース後、彼らはwabana、scat、sub-popの順で、それぞれ一枚づつシングルを発表してきた。
 そして、登場したのが本作品だ。

 録音は609レコーディング。地元のスタジオかな。
 エンジニアはメンバーのドン・デピューがつとめている。
 プロデュースは、コブラ・ヴェルデ自身。
 ようするに、何から何まで自分らの手で作り上げた作品だ。

 ジャケットはポップなコラージュ風の、派手な色使いになっている。
 ケースを染め上げた真っ赤な色が、ジャケットの基調。
 そこにデフォルメされたさまざまなロゴを、レイアウトしたデザインだ。

 肝心の音は正直、力不足だと思う。
 コブラ・ヴェルデの個性と呼べるだけにまで、曲を昇華させられていない。
 アイディアの片鱗には、ときたま才能を感じるのに。
 やはりプロデューサー不在が、裏目に出た作品といえる。

<各曲紹介>

1)Catalogue

 重たいギターソロで始まる、強引なハードロック。
 メロディは時々面白い瞬間があるし、アレンジも凝ってるんだけど・・・。
 ミックスが全面的にこもっていて、ヴォーカルが埋もれてしまっているのが残念。
 数種類のメロディを強引に結びつけた、力技の作曲が面白い佳曲。

2)World doesn`t end

 メロディがちょっと弱い。
 サイケな雰囲気をアレンジに盛り込んでいるアイディアは評価するけれど、曲自身にあと少しパワーが欲しかった。
 ゆったりしたメロディから、だんだんスピードアップしていくおかげで、曲が単調になるのを防いでいる。

3)Media Whore

 アコギを何本も重ねて、緊迫した雰囲気を作っている。
 ヴォーカルもドスを効かせて、タイトにフレーズを噛み締めて歌う。
 バックのコーラスをサイケに響かせ、不安をあおる曲。
 録音はくっきり撮れていて、細かいフレーズまで響くのもいいぞ。
 このミニアルバムの中で、あえて一曲選ぶとしたらこれかな。

4)Wish I was here

 まずはイントロのサビ。ライブでは盛り上がるんだろうなあ。
 いろいろな要素を盛り込んだ曲は、せっかく面白いのに。
 録音がどうも空々しく響いてしまい、演奏にのめり込めない。
 もうちょっとテンポを上げて、タイトに決めたらいい曲になると思う。

5)Evrey god for himself

 メロディは本作の中で一番いい。
 甘さをあちこちにふりかけた、素敵なメロディだ。
 ただ、演奏がそれを生かすまで洗練されていない。無造作にジャカジャカ楽器を鳴らしてしまっている。
 他の曲で見せたように、もう少しアレンジを配慮したら、とびきりの曲になったはず。おしい。

 ヴォーカルの力不足も、残念ながらマイナスポイント。
 他の曲ではりきみすぎなほどにドスを効かせるのに、ここでは妙に自信なさ下に歌っている。
 名曲にあと一歩のところでなりそこねた、とってもおしい曲。

6)Fire of love

 ジャケットに歌詞を載せていない本曲は、ボーナス曲扱いなのかも。
 スローテンポで、ドスを効かせて歌っていく。
 僕の好みとはちょっとちがうので、評価しづらい。
 ダンディな余裕のイメージを見せたかったのかもしれないが、どうももったいぶっているだけのように聴こえてしまう(苦笑)

 ゲストにクリス・ブロカウがギターで参加しているけど、それほど目立った演奏はしていない。
 オブリガードのちょっとアラブっぽいフレーズが、クリスの演奏かなあ。

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