Guided by Voices

"August By Cake" Guided By Voices (2017:Guided By Voices Inc.)

Vocals, Guitar, Artwork - Robert Pollard
Bass, Vocals - Mark Shue
Drums, Vocals - Kevin March
Guitar, Vocals - Bobby Bare Jr., Doug Gillard
Mixed By, Mastered By - Travis Harrison
Recorded By - Kevin March, Phil McHaffey, Travis Harrison

 多様なアプローチとメンバー全員の個性を見事にまとめた。
 本盤はGbVとして初めての2枚組であり、ロバート・ポラードがこれまでリリースしてきたアルバムとして、100枚目にあたる。
 また、再々結成したGbVのバンド・メンバーによる初のアルバム。
 色々とターニング・ポイントにあたる。GbVは気負い過ぎないが、しかし充実した作品を作り上げた。

 ボブは丸くなったな。メインを自分で張りながら、メンバーの作品もアルバムにばらまいた。これまでバンド・メンバーの曲を排除とまではいわない。だがアルバム全体の流れを意識した配置よりも、エゴの張り合いって風情もあった。
 トビン・スプラウトの場合はボブの対抗馬って感じだったし、他のメンバーの曲を採用する場合も、「ボブのお眼鏡にかなったものを、並べた」って異物感をうっすら感じた。
 しかし本曲の場合はアルバム全体の流れを見据え、まるで発注したかのようにメンバーの曲がスマートかつ必然性を持って並べている。
 さらに民主制を意識したかごとく、公平に数曲づつメンバーの曲を並べるありさま。
 ボブも還暦をこの歳迎えてようやく、ひりひりした現役感から、定年迎えた余暇っぽくバンドを"楽しむ"って志向を選んだかのよう。

 ちなみに全曲がバンドで録音ではない。クレジットを見ると、個々が多重録音で収録した作品が散見される。
 2枚組ってコンセプトで曲を無理に集めたわけではあるまい。いっぽうでバンドって立ち位置にもこだわらず、ある意味で無頓着。もっともアルバムの流れは自然で、まとまりがある。

 翻って概観すると、この再々結成したGbVからは、90年代の猛烈なパワーが減じている。再結成での性急な創作とバンド維持の挟間とも違う。
 バンドは無理なく維持され、仲良くマイペースな活動だ。生き抜くための若いパワーよりも、功成り遂げた(ってほど売れはしなかったが)上で、余生っぽいゆとりが漂う。

 はっきり言うと、初期の瑞々しい魅力は無い。過去の蓄積を踏まえた作曲術を武器に、のびのびバンドを続けてる。
 だが、それも良いじゃないか。誰しもが歳を取る。誰もがストーンズみたいに溌剌さを意識し続ける必要はない。
 かれこれ20年、GbVを聴き続けたきた身としても、ゆったりボブの活動を楽しみたい。
 
 いずれにせよ小手先で義務的に作りはしない。過去に負けず劣らず、リリース量は膨大だ。さらに、実験精神は衰えていない。
 いや、実験というより自分の方法論を頑固に主張し続けている。もはやボブを止める人は誰もいまい。

 姿勢は年寄りの冷や水ってほど、ヌルく落ちぶれてはいない。ビジネス規模を維持する義務感で、無理やり活動でもない。だが若いころの破天荒さは薄れた。逆に手練手管を覚えた作曲術は円熟してきた。
 いずれにせよ、ボブ流の奔放さは失われていない。
 若いリスナーに現在のGbVは薦めない。彼らの凄さを実感するには、活動初期の盤から聴いたほうがいい。

 けれどもボブの猛烈な活動を追ってきた上で本盤に至ったとき、いいかげんでなくリラックスが勝ったムードが漂う、本盤はとても愛おしい。
 若干、小器用にまとまってきた。しかしベテランの手すさびには終わらない。実験精神を忘れず、ポップなメロディの創作力はまだまだ瑞々しく溢れた。

<全曲感想>

1 5o On The Inside 2:28

 勇ましいボブの宣言に導かれ、ホーン隊も加わった中期ビートルズめいた音像にて華々しくアルバムが始まった。
 メロディは一筆書き気味ながら、きっちり構成された質の高いもの。アクセントにホーン隊を上手く配置して、コンボ編成だがスケール感大きい曲に仕上げた。
 マーチのようにくっきりしたリズムが、整然とノリを盛り上げる。サビでの天へ上るような爽やかさが好きだ。
 歪んだエレキギター数本も無造作に捲いて、キレイキレイにまとめすぎぬセンスも素敵。

2 Generox Gray(R) 1:58

 前曲の雄大さを引っ張り、なおかつ重厚なルーズさを強調した。つぶやくような静かな歌い方が効果的。楽曲としてはテンポとボーカルのメロディを上げたら、もっとキャッチーになった。
 しかしボブは敢えて荒っぽいサイケ色を選ぶ。オルガンがエレキギターのざらつきを上手くまとめてる。

3 When We All Hold Hands At The End Of The World 2:02

 チープなリズム・ボックスとギターを中心のアレンジで、デモっぽく仕立てた。ボブの節回しは、まさに彼一流のメロディ・センス。アイディア一発で終わらせず、別場面にふっと足を踏み入れた。シンプルながら、味わい深い。

4 Goodbye Note 2:51

 ダグ・ギラードの作品。ボブの曲と違和感並ぶが、和音を動かすシンプルなリフのメロディックな作りが、やはりボブに無いアプローチかな。
 低く鈍く歌声は、途中でダブル・トラックになりポップさを増すけれど。ぬぼっと低いトーンで歌う音域が残念。凄くポップなのにな。
 シンプルなエレキギターのソロも、歯切れ良く曲に収まった。エンディング間際に絞り上げるギターリフもかっこいい。

5 We Liken The Sun 2:09

 しみじみとメロウなメロディを、飽和するギター数本の圧力で広げた。シンプルなベースとギターの対比を見せつけたあと、おもむろにドラムも加わる。
 簡素だが見事にスケール大きい風景を描いた。ボブの歌はときおり、わずかにメロディを外す。だけどそれすらも味。頼りなげな歌声が逆に、きれいにまとまりすぎずにはみ出し気味な魅力を作る。
 しっかり曲を終わらせず中途半端に次の曲へ行ってしまう。本当はもっと尺を長くして聴きたかった。

6 Fever Pitch 1:01

 前半はビニールを唇へあてたがごとくの、歪みまくったボーカルにアコギの無造作な爪弾き。いかにもデモテープっぽく一筆書きメロディを並べて、とりとめなく放り出した。こういう投げっぱなしが、いかにもボブ。メロディそのものはほんのり切なく甘い。

7 Absent The Man 1:36

 マーク・シューの曲。ブリティッシュ・パンク的なフレーズ感のメロディと、シンプルなノリはボブに無いオーソドックスなスタイル。敢えて荒っぽさを抑えて、整ったアンサンブルを選んだ。
 GbVとして異質なまともさながら、長尺の本盤ではいい塩梅のアクセントか。
 むやみに長くせず、一分半で潔く終わらせた決断力を評価する。

8 Packing The Dead Zone 2:51

 しずしずと迫るギター・リフへ電話アンケートみたいな声をかぶせ、珍妙な居心地悪さを演出した。
 伴奏だけ聴くとまっとうなロックだが、ボーカルがどこか上滑りな配置で、うっすら奇妙なムードを作った。エコーをずっしりかぶせた歌声は、速弾きリフを従えてサイケな道をまっすぐ歩んでゆく。

9 What Begins On New Year's Day 1:59

 ボブの綺麗な一筆書きメロディの佳曲。アコギにダブル・トラックのボーカル。そこへエレキギターやパーカッションが乗る。バンドで録音かもしれないが、ボブの多重録音デモっぽい素朴でパーソナルな雰囲気が可愛らしい。
 こういうさりげない曲にこそ、ボブの魅力がある。

10 Overloaded 3:32

 ケヴィン・マーチの曲。3分半と本盤にしては長めの曲。畳みかけるフォーク・ロックっぽいメロディは悪くない。サビで不安定に開放する和音感もまずまず。ほんのりサイケなソフト・ロック路線が似合ってる。デモっぽく粗い仕上がりながら、ハーモニーも効果的だ。
 歌もケヴィン。というより、演奏全てが彼の多重録音らしい。
 ボブの影で目立たないが、伊達にボブと一緒に音楽はやってない。実力はある。

11 Keep Me Down 2:33

 ポリリズムかと誤解するほど、がたがたにラフな演奏。縦の線が揺れまくり。バンドっぽい演奏だが、ほぼすべてをボブが多重録音し、ギターだけダグが録音らしい。
 この荒っぽさはこだわらないボブのセンスによるものか。
 にもかかわらず、この曲はサビがとても魅力的。くう、メロディの無駄遣いだ。もっときれいに整えることもできるのに。ボブは無造作に歌って終わらせてしまう。

12 West Coast Company Man 1:55

 一転してすっきりスマートな演奏。コラージュのように場面転換が起こり、ボブの一筆書きメロディを上手くドラマティックにまとめた。サビとか平歌でなく、思いついたメロディを次々にくっつけて、一曲が出来上がっている。

13 Warm Up To Religion 1:52

 穏やかに語り掛けるバッキング。だが冒頭の声はリバーブたっぷりの語りで、いきなりサイケへ風景が引きずり込まれた。戸惑ってるうちに旋律へ変わり、甘やかなポップスに変化する。終盤では厚めのハーモニーで甘酸っぱさも付与された。
 これもとりとめなくアイディアが寄せ集めながら、どんどん素敵に鳴っていく典型。冒頭の語り部分を取っ払い、後半のサビを中心にまとめたらキャッチーになるだろう。
 しかしそんなあざとい計算をしないところがGbVであり、彼らの魅力である。彼らっていうより、ボブの趣味か。こういう構成はバンド・メンバーの意見をボブは聴かないんだろうな。

14 High Five Hall Of Famers 2:08

 ボビー・ベア・Jr.の曲。ギターとドラムを自分が担当し、ボブは演奏も歌も参加してないようだ。親しみやすいメロディだが、単独で取り出して聴いたらパンチ力に欠ける。ちょっと覇気がない。 
 けれどアルバムの流れで聴いたら、いい塩梅の抜け感を付与してる。曲としてはもっとスピーディでハードに叩きつけたほうが良さそう。でもこのうっすら脱力感が味わいか。
15 Sudden Fiction 2:41

 マーク・シューの曲。ほんのりパンキッシュな勢いだが、ベテランらしいゆとりで緩やかにまとめた。詰まった響きなハーモニーも気持ちよい。
 これもボブは不参加。マークが殆どの録音を行い、ギターとコーラスでダグやベアが参加したのみ。
 GbVらしさはシンプルなギター・リフ。メロディや雰囲気は洗練されてる。細かいダビングを重ねたアレンジも丁寧な仕事で、ある種GbVっぽくはない。でも心地よい曲だ。

16 Hiking Skin 1:56

 つぎつぎ爽快さが上書きされていく。短いメロディが積み重なり、どんどん盛り上がる名曲だ。本盤発売の2017年に行われたライブでも、頻繁に披露された。
 前置き無しでいきなり曲が始まり、ぐいぐいと心を掴んでいく。最後は単音を重ねる単純なリフでミニマルにまとめた。セオリーを踏まない、こういうとこがボブ印。

17 It's Food 2:53

 前曲のリフから直結でドライブする曲。単音リフを軸にして、ときおりリズム隊が噛みつくアレンジだ。前曲同様にライブの定番レパートリーになった。決して前曲とメドレーが前提でもなく。
 断続的にビートが加わるため、ノリの良さとは少し違う。でも焦らされた挙句にリズムが加わったり、ベースやギターが絡みつく構成の工夫も味わえる。

18 Cheap Buttons 2:11

 シンプルなバンド・アレンジにボブ流の甘酸っぱいメロディがふんだんに溢れた。これまたキャッチー。あまりメロディを複雑にせず、タイトルを折々に挟みながらメロディはあちこちに溢れていく。

19 Substitute 11 2:31

 引きずるようなムードの曲。ポップさや盛り上がりに拘泥せず、いくぶん内省的なトーンでまとめた。最後まで同じ雰囲気で続けず、組曲のように中盤で不穏気味に空気を換えた。最後で出てくるキャッチーなフレーズを軸にまとめたら、もっと親しみは増したろう。
 むしろスタジオの実験で終わりそうな曲だが、これもしばしば2017年のツアーで取り上げられた。本盤の他の収録曲と合わせて、2016年8月26日にシアトルのライブで初演済み。

20 Chew The Sand 3:44

 マーク・シューの曲。まさにボブっぽいスタジオでラフに作った感じの演奏だ。実際にはギターやノイズでダグやボビーが参加したのみ、ボブは関与していない。
 インスト曲でつかみどころ無い混沌なサイケが広がる。ギターのフィードバックが飛び交う、かなりノイジーなアプローチ。

 にもかかわらず、ボブはGbVのアルバムに本曲の収録を許した。しかも4分弱という、とりわけ長い尺にも関わらず。こういう鷹揚さやメンバーの個性投入を許すあたり、本盤を聴いてボブは丸くなったなと思った。
 演奏そのものはボブが遊びで作ったデモって、ブラインドで言われたら信じそうな雰囲気。一定のビートを保ったうえで、歪んだギターが暴れてる。メロディは無いのに、なんとなくポップな面白さあり。真剣にストイックなノイズとは違う、ゆとりがある。

21 Dr. Feelgood Falls Off The Ocean 1:59

 ボブとジム・ポラードの共作。リズム・ボックスによる乾いたビートに導かれ、数本のギターが温かくリフを奏でた。
 ほんのり調子っぱずれに聴こえる歌声は、実際のところしっかりくっきりと旋律を滑らかに紡いだ。
 基本はボブの多重録音で、ギターにダグがダビングしたのみ。デモテープみたいなアレンジながら、逞しく迫力ある歌だ。

22 The Laughing Closet 1:32

 録音やミックスを担当したトラヴィス・ハリソンがギターにシンセの弦にそのアレンジと活躍した曲。いかにもストリングス・パッドなシンセ音色でなく、いくぶん繊細な響きをシンセで作った。
 フォークっぽい暖かく柔らかい雰囲気の佳曲。一筆書きでメロディが動いていく、めくるめく優しさに包まれた一分半。

23 Deflect/Project 2:33

 ダグ・ギラードの作品。ギター数本を多重録音、ボーカルをうっすらと表面に乗せた。
 前曲から一転して歯切れ良い鋭さに切り替えつつ、歌声は弱気なスタイル。しかしこの歌声が、サビで強烈に生きた。スペイシーな硬質さで多重ボーカルが滑る瞬間が、とてもいかしてる。
 ほんのりテクノ寄りのメカニカルな佇まいが効果的。アウトロではシンセのソロも挿入し、混沌サイケ色を強めた。

24 Upon The Circus Bus 2:20

 ボビー・ベア・Jr.の曲。前曲からクロスフェイド気味にざわめきを残した。楽曲はアコギのスカスカな弾き語りデモ風のアレンジ。途中からシンセもダビングされるが。
 だから背後で無秩序にしゃべるノイズが、いい賑やかしになった。
 切なさを含んだメロディは、きっちりアレンジしたら情感をきちんと表現できたろう。なにもボビーまで、ボブ風にメロディを無駄遣いしなくたっていいのに。

25 Try It Out (It's Nothing) 1:47

 ボブ流のグイっと引っ掛け持ち上げるメロディがふんだんに流れた。管のアレンジはダグで、トランペットを演奏はデニス・クローニン。本盤の(1)でも吹いてた人。他に2016年のプロジェクト、ESP Ohioでもゲスト参加してる。
 楽曲そのものは一筆書きで進むのに管を効果的に混ぜた、ダグのアレンジが見事。
 ドラマティックに緩急を利かせ、聴きごたえある曲に仕上げた。

26 Sentimental Wars 2:48

 ケヴィン・マーチの曲。前曲からクロスフェイドでエイト・ビートのドラムがイントロで、そこへギター数本が混ざった。
 これも演奏全てがケヴィンによる。トビン・スプラウトが得意とした、夢見心地な甘いポップスを柔らかく提示した。
 3分弱と尺をとってじっくり。サビでの牧歌的かつ明るくサイケな雰囲気が、素敵なポップ・センスだ。

 ケヴィンの作曲力を甘く見てたな。これまで追ったことなかったが、GbVと周辺ユニットRicked Wickyの他に、次のようなバンド活動をしていた。アルバムもいろいろあり。これらも聴けるか調べてみよう。

1987-1998 Shudder To Think
1989-1995 Dambuilders
 1996 Those Bastard Souls
 1996 Mind Science Of The Mind
2006 Hot One

27 Circus Day Hold Out 2:02

 一転してずしんと重たい曲。ボブは本盤でポップさに留まらず、暗めの曲も躊躇わず投入した。
 ひきずるギター・リフを率いて、サビ的なフレーズにてグイっと持ち上がる歌、続く短いギター・ソロが聴きどころ。
 ボーカルを多重録音、ギターも重ねてじっくり作りこんでる。アウトロの群唱もチープだが迫力あり。こういうドラマティックな曲作りに、つくづくボブの作曲術の進歩を感じる。

28 Whole Tomatoes 1:12

 ダグがギターと鍵盤を弾いてトラックを作り、ボブが歌を乗せた。訥々としたフォーク調の風景が二部構成のように、途中でがらりと風景が鮮やかに変わった。
 前半はギター、中盤から鍵盤へアレンジの骨格をさらり変えて、一筆書きメロディを巧みに彩っている。

29 Amusement Park Is Over 2:18

 さりげない名曲。イントロはボブの弾き語り。ダグがギターを重ねた。ギターが足されるごとに曲の厚みが増していく趣向のアレンジだ。
 勇ましく瑞々しいメロディを、伸びやかにボブは歌う。やがてドラムも加わり、バンド編成に変化した。
 さほど分厚くミックスやマスタリングしていないのだが、スタジアム級のステージでも映えそうなドラマ性を内包している。内省的な弾き語りから雄大なスケール感ある地平まで、2分弱で見事にGbVは表現した。

30 Golden Doors 1:44

 エコーたっぷりのボーカルでボブがやはり、弾き語りのデモ風に仕立てた。じりじりとアンプが唸るようなノイズも全編に付与。
 前曲とは異なり、これはボブがあっさり4ch収録した風情で初期GbVからのローファイなお家芸スタイル。前曲との対比も凄い。あっけらかんと、飾りっ気なしの粗野な側面を見せることもボブは恐れない。

31 The Possible Edge 2:01

 ちょっとばらついた演奏で危なっかしく始まる、ボブ流のメロウなメロディが緩やかに展開する曲。
 バンドで一発録音っぽく伸びやかにまとめた。スピードよりも穏やかな雰囲気で、和やかに音楽が進んでいく。これもさりげない佳曲。

32 Escape To Phoenix 2:07

 アルバム最後は幾分威勢良くまとめた。キックに手拍子を重ね、ライブのアンコールっぽい盛り上がりを演出する。
 ボブのメロディは逞しいが、ちょっと力を抜いた。キンキンに張りつめず、ちょっと息をつくスペースを作る。 
 最後の群唱は(27)のリプライズ。ピアノをちょっとダビングしたり、単なるバンドの勢い一発な盛り上げではなく、LP二枚組にわたる大作をドラマティックに仕上げた。
 ・・・もっともGbVは本盤へ2枚組として格別の意味合いを持たせなかった。2年後に"Zeppelin Over China"(2019)で再び、LP2枚組の作品をあっさりとリリースする。しかもこちらは、ボブの曲をズラリ並べて。  (2020/4:記)

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