Guided by Voices

The Moping Swans "Lightninghead to Coffeepot"(2005)

Tony Conley - Lead guitar
Greg Demos - b
Jim Macpherson - ds
Robert Pollard - vo,g

Todd Tobias - produced and engineered

 10時間でさくっと録音したアルバム。メンバーはGbVゆかりの顔ぶれで、作曲は全てロバート。プロデュースはトッド・トビアス。GbVでもいいじゃないか、とも思うが・・・。
 いくぶんスタジオ色を強めた、サイケ・ロックぶりが違うのかも。後期GbVはライブを抜きにして、語れなさそうだから。
 いずれにせよ本盤はGbV解散後。ロバートとしても、バンド名は明確に分けている。

 短時間で録音した割には、きっちりサウンドはアレンジされている。トビアスの手柄かな?
 荒っぽくなりそうな音像でも、かなりコントロールされている。アイディア一発ではない、良く練られた盤。それでいて、ロバートの勢いは殺されて無い。

 6曲入りのコンパクトな仕上がり。ロバートの才能が一瞬で溢れ、雲散霧消したような小品。
大傑作とはいえないが・・・ファン向けかな。
 メロディに格段のパンチが無い。アレンジと噛合わず、ギクシャクしてもいる。

 最も彼らが一番やりたかったのは、最終曲での重たいリフ大会なのかもしれない。

<全曲紹介>
 
1. Beaten By The Target

 キャッチーなロック。これだけ取り出したら、GbVのアウト・テイクとしても成立しそう。小刻みなハイハットが小気味良い。
 ロバートのボーカルもはつらつとしており、本盤ではもっとも親しみやすい曲。
 サビでは風景ががらり変わり、アレンジもメリハリ聴いている。

 もうちょいメロディ・ラインに鮮烈さがあれば、と思うが。サビの叩き込むラインが、今ひとつ盛り上がりに欠ける。

2. Shame Me No Further

 パンクの要素を匂わせたアレンジだが、演奏はまずまずタイト。中盤ではテンポ・ダウンから駆け上がるリズムと、曲構成は決まってる。
 今ひとつ垢抜けないのはなぜだろう。ギター・リフがモタリ気味だからかな?

3. The Moping Swans Are Home

 冒頭でロバートの舌をばちっと丸めて当てる歌声のかっこよさが、一番のキモ。
 ちゃかちゃかとリフがコミカルに鳴り、リズムの頭を若干あいまいにするサイケなアレンジを採用した。
 
 ダブル・ペダルと思われるバスドラが連打される押しのパターンと、ギター・リフの軽いパターンが交互に登場。メリハリはついているが、曲としては中途半端さが否めない。

4. Look At Your Life

 ロバートのサイトでmp3がアップされるなど、一押しと思われる曲。ギターの音色がアルバムを通して似通っているため、ここまでくると食傷気味。 メロディ・ラインはロバートらしい、一筆書きで駆け上がる味わい深さ。
 
 いっそヘヴィなギターのストロークをやめて、あっさりと編曲したら小気味良いポップスになってそう。ギターらしい音が深みを出すが、ピアノ中心でアレンジのほうが似合う、と思う。
 エンディング間近のシンセの音色が彩りを増して、曲の魅力を強調してる。

5. Keep The Gutters Fresh

 ドラムとギターがユニゾンで刻むビートが特徴か。メロディはゆったりしたアレンジでは映えそうなのに、しゃくるリズムと相殺して中心がボケてしまった。
 歌のメロディは地味ながら、悪くない。
 
6. Lightninghead To Coffeepot

 8分以上にもわたる、ロバートにしては珍しい。冒頭で無造作にロバート節の短いフレーズを淡々と呟いたあと、あとは延々と16小節のリフが、特に展開も無く続く。

 オブリではいるノイジーなギターやシンセが心地よい。インダストリアル・ノイズにも通じる頑固さで、執拗にリフを重ねた。
 どういう手順で録音したかは不明だが、とにかく延々とリズムをスタジオで続けたんじゃないかな。
 
 オカズのノイズはリフへ様々に絡む。裏拍でカウンターを入れたり、無造作に別ビートでかぶったり。しかし根本はリフとは無関係。
 そしてリフそのものも、なにも忖度せずに己の存在をひたすら提示した。
 ある種ストイックな意味合いを覚えてくる。後半5分程度、ずっとリフが続く。
 最後はスッとバックの音が消え、ギター・リフだけが静かにストロークした。

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