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のんびりてきとー日記です。 ちなみに過去の日記はこっちです。

電子音のノスタルジー。
V.A."Holy 8bit Night"を聴いている。クリスマス・ソング集。季節はずれという無かれ。音楽に貴賎は無い。季節はあるか。なぜ今聴いてるかというと、ついこないだ入手したから、としか言いようが無い。

盤宣URLはこちら。昨年11月に発売された。
http://www.vorcrecords.com/holy_8bit_night/

チップチューン・スタイルによるクリスマス・ソング集。8bitゲーム機で聴けた、野太い電子音で組み立てた音楽を指す。今だとYMCKなどがその系譜にあたる。Wikiにもしっかり項目あり。
http://tinyurl.com/2kbwpe

本盤はベタなクリスマス・ソングや達郎、ユーミン、千里、ワム!、坂本龍一などのクリスマス曲を、さまざまなアプローチでダンサブルにカバーしてる。なぜダニー・ハサウェイの曲が?良くわからない。
コンセプトに基づき、分厚いオーケストレーションはしない。音数をすっきり、音色の太さやリズムの区切りで厚みを出す。達郎のカバーはずたずたに解体して、思い切りサイケな切り口で面白かった。ギャグっぽいアレンジが多いけれど、あくまでまじめな音楽。

ぼくの世代だと、曲そのものもオールド・タイム。さらに8bitゲーム音源もノスタルジーを感じる。この音色が奏でるゲームへ夢中になり、技術の進歩とともに歳を重ねた。
そして3和声の限られた音像で、奥深い夢を作り上げるプログラマの技能に圧倒された。

この時代の最大傑作は"Mother"だと信じる。鈴木慶一が作ったこの曲、ファミコンで初めて聴いたときは心が沸騰した。穏やかな雰囲気で立ち上がりつつ、確かなうねりを感じさせた。

本盤を聴きながら、なぜこんなことをつらつら思い浮かべたか。今の若い世代、10代や20代はこのチップチューンの音色を、どう感じるんだろう。キッチュさか不自然な厚着感覚か。
果たしてノスタルジーを覚えるのだろうか。電子音の無造作で刺激満載の響きへ、原色で豊潤な駄菓子めいた甘酸っぱさを感じる気持ちに、共感してくれるだろうか。

チップチューンの音色へノスタルジーを浮かべるのは、冷静に考えるとごく一部の世代だけかもしれない。インベーダーの発射音、レーシング・ゲームのエンジン音。古臭いけれど、間違いなくリアルタイムではかっこよさも感じてた。今聴くと、技術の進歩と時代の流れは明らか。相反する思いをチップチューンの音色に感じる。
ある意味、貴重な世代感覚なのかもしれない。
2008年08月15日 20時12分47秒
ジャケ写を探して。
i-tunesで音楽聴くとき、最新バージョンでは左下にアートワークが表示される。別に聴きながら画面見てないため、空白でもいいんだけど・・・。
どうせなら表示させたい、とネットでジャケ写を探す。メジャーなミュージシャンでも、意外にアートワークが表示され無いのはなぜだろう。

なるたけ画像がきれいで、オリジナルに近いもの(帯写真など写ってないもの)を探しまくる。あとで削除/変更できるとはいえ、なるたけクオリティのいい写真を・・・と。無駄な労力を費やしてる気もする。

書いてて、ふと気づいた。ジャケット写真でなく、気に入った写真をアートワーク欄へ表示させてもいいわけだ。
個人使用でデータ共有しないし、後で修正もできる。
ふむ。選択肢が増えてしまった。
2008年08月15日 14時19分13秒
デスカルガ。
目が覚めて、なんとなく聴きたくなったのがデスカルガ。サルサでいうジャム・セッションのジャンルを指し、録音物は50年代中盤頃かららしい。レココレ誌96年6月号に簡単な特集あり。

今、活発なのか。今でも音源が手に入るのか。そこらへんはよくわからない。アマゾンで「デスカルガ」の検索しても、あまり引っかからず。
ためしに検索したら、http://www.descarga.com/なるサイトが引っかかった。うお、専門サイトか?!といきまいたが、どうやらラテン系のショップってだけみたい。

今聴いてるのはアレグレ・オール・スターズの1st。アマゾンではP-Vineの96年再発盤が、まだ手に入るみたい。繰り返しが多かったり、アドリブある場面はジャムっぽい。
だけどボーカルや構成がきっちりとしており、とてもジャムに聴こえぬ場面も。編集なり、リハなりをして録音したのかな。
2008年08月14日 09時13分16秒
日常をなんとなく。
村上龍「愛と幻想のファシズム」を再読中。後半まで怒涛な進行の印象だったが、中盤ですでに組織が葛藤してたんだ。今、スト破りのあとでゼロがひょろひょろ言うくだりまで読んだ。
しかしなぜ、会話体で丸を使わず句読点で延々続けるんだろう。内容ではない。微妙な文章や表現のこだわりが、エンターテイメントと純文学の間をふらふらする。

小説を速読するのは意味が無いけれど、猛スピードで読みたい。体力も必要か。寝転がって読んでると、物理的に本を読むのに手が疲れてくる。
本を読むのはもっぱら、寝転がってか電車の中。机に座って背筋を伸ばして読むってのが、どうも出来ない。

さて、音楽ネタ。あちこちふらついてるとき、トランペット奏者のソロを譜面化したサイトを発見。
http://www.shout.net/~jmh/#transcription

スティーヴ・ヴァイのザッパ譜みたいに、実際のタイム感をめちゃくちゃな奇数連符にせず、スムーズな符割で採譜してるもよう。まだ、実際の音源とは聴き比べてない。

ふだん、楽譜を見る機会は少ない。弾けやしないのに、たまに譜面眺めながら聴くと、なぜこんなに面白いんだろう。解剖図や設計図を見るときのわくわく感みたいなものか。
2008年08月12日 21時19分45秒
Webファッション誌をぱらり。
朝から音楽かけっぱなしで、ちょっと鼓膜が疲れた。ということで本ばかり読んでいる。日記のネタも視覚的なものをひとつ。

どこかのサイトでWeb版ファッション雑誌の紹介を見かけた。女性誌だけど、ちょっと見てみる。今年の7月20日に創刊らしい。
http://www.goddess-involved.com/
ファッション誌の業界動向はさっぱりですが、どう評価されてるんでしょうか。

あちこち飛んでみた。きれいだし画像落とせるので、壁紙にも出来そう。どうも画面が戻りづらい。画面下のバーメニューに気づくまで、ちょっと戸惑った。
掲載の写真もなんだか少ない。もっとボリューム欲しい。バックナンバーの処理をどう扱うかにもよるが。

文句ばっかり言ったけど、こういうのはもっと普及して欲しい。改めて本屋で買わないし、たまにパラパラ見るぶんにはきれいだもの。男性誌も無いかね。

しかし女性誌ってのは何故、こうも謎の表現が飛び交うのか。音楽話をしてて「専門用語が多すぎる」と指摘を受けたことある。ファッション誌のアオリや記述長めてると、その気持ちがよくわかる。
「セダクティブメイク」とか「グロリアスに暮す一日」とか、どういう意味なのさ。

「女神も舌うつグルメ!」って、すごいな。次のアオリはどうするのかね。「創造主も舌打つグルメ!」とか「ビッグバンより舌打てるグルメ!」か。気持ちはわかる。だけど飛ばしすぎじゃ。次の一打を考える時に困りそう。褒めるって難しい。
2008年08月10日 11時02分31秒
行って帰る。
http://www.hayakawa-online.co.jp/news/detail_news.php?news_id=00000167
ペリー・ローダンが9月は月二冊刊行という。日本版はついに350巻まで行ったんだ。
このまま週刊化へ雪崩れて、ちょっとはドイツとの差を縮めて欲しい。現地は今、最新号が2450号(日本版換算で1225巻)だ。あらすじ読んでも、相変わらず何がなんだかわからない。

http://www.rlmdi.net/rlmdi/di/di0522.html(日本語)
http://www.perry-rhodan.net/produkte/hefte/1/2450.html(ドイツ語:元サイト)

といいつつ、もうずいぶんローダンを読んでない。たぶん二百数十巻で挫折してるはず。どこから読み直そう・・・と考え、きりのいいところで251巻からにする。昔、SFマガジンの増刊号で現地500号の翻訳を読んだし。図書館で借りてきた。

さっそく読みたいが、今日は暑い・・・苦肉の策で、最寄の駅から電車へ乗る。部屋にクーラーないし、電車なら涼しいだろ。
都心へ向かって山手線ぐるぐるも考えたが、いかにも人いっぱいで落ち着かない。よし、今日は逆だ。山のほうへ向かった。

鈍行を乗り換えつつ、西武秩父まで。どんより曇った空は、ずいぶん涼しい。気圧のせいか、耳もすっきり聴こえる。
そのままホームから一歩も出ず、折り返す。乗ってきた電車へ、再び乗って。空いててのんびり本も読めた。ローダン2冊と別の本半分くらいを片付ける。

しめて4時間くらいの電車旅。単に乗ってるだけだから、旅とはいわんか。
だけどローダンはまとめて読むと、どうにも疲れる。一週間に一冊くらい、すかすかっと読むのがいいのかも。アイディアやガジェットの奔出は面白いが、どうにも大味だったり、流れに乗り切れなかったりする。
2008年08月09日 17時11分00秒
・・・暑くて、目が覚めた。
夕べは結局、いろんな本を読み倒していた。サイトの"Book"コーナーに感想をあれこれアップしたけれど、ちょっと長めの感想をこちらへ。

『バロックから初期古典派までの音楽の奏法―当時の演奏習慣を知り、正しい解釈をするために』
 著:橋本 英二/音楽之友社:2005年刊

アメリカの音大で教鞭をとった著者が講座を書籍化した。音大生が読者ターゲットなのか、譜例や演奏上のアドバイスがばんばん出てくる。
わかんないところはどんどん飛ばしながら読んだが、とても興味深かった。

バロック時代は即興の要素があったと、漠然ながら知識はあった。カデンツァがいい例。だけど理由は知らずじまい。ピアノ譜にトリル記号が何故あるのか。譜面に書けばいいじゃないか、と思ってた。

本書はバロック時代と現代の違い、実際の演奏時にどう表現するかの観点から、複数の文献を並列紹介しつつ、判りやすくまとめた。
目次に書かれた項目は、装飾音、リズム、テンポ、繰り返し、カデンツァ、ピッチ、音律、ダイナミクス、通奏低音の伴奏法、当時の楽器紹介など。

すなわち記譜論からさまざまな表現手法まで、幅広い視点を本書で概観できる。
装飾音符って、こんないっぱい種類があったんだ。
さらに"カデンツァ"や"即興演奏"の項は、クラシック分野の著者による「即興音楽論」小文的な側面もあり、とても面白かった。

素人がパラパラと読んでも楽しめる。註を多用するがページの直下に書き記し、全体を俯瞰しつつ読み進める編集もわかりやすくていい。

バロック時代は記譜を踏まえつつ、相当に奏者へ演奏表現の幅を許していたと、本書から知った。
ややこしくて内容理解は出来なかったが、通奏低音の数字譜はコード譜のような感覚か。さまざまな記譜手法があったんだな。

現在のクラシックの流れは良く知らないが、ぜひバロック的な即興要素を生かした演奏を続けて欲しい。繰り返しと装飾音の関係は、本書で初めて知った。今はどう演奏してるんだろう。

録音技術が存在する、というありがたみを今さらながら実感。
即興の名手と言われたバッハが当時、繰り出し続けた即興はどんな音楽だったろう。当時、録音技術が存在していたらなあ。
2008年08月09日 06時44分50秒
本屋をぶらり。
今日は休暇をとった。用事のあとに、本屋をぶらつく。新鮮な情報や物語で、好奇心をくすぐる本が無いかなあ、と。

本屋をまわると思い切りわくわくするか、闇雲にうろうろするか、二つに一つ。今日が、後者だった。興味ある本があっても、買いたいと思う本が無い。あっても、高いし分厚い。

3000円前後が、だいたい購入を躊躇う分岐点となる。面白いかもしれないが、値段に見合うか。図書館で借りられるんじゃないか。置く場所ないなあ。高いお金出して、理解できなかったらどうしよう。

迷い始めたらダメ。もう買えない。そんな調子で、本屋のあっちをぶらぶら、こっちをぶらぶら。やむなく、ビジネス書に絞った。このジャンルなら、図書館では鮮度に欠けてほとんど役立たないから。

しかし、この棚も面白そうなのが無い。投資本は触手伸びないし、自己啓発本もいまいち。経営論も組織論もマーケティング本も経済分析本も、ぴんと来ない。困った。
一番面白そうと手に取ったのが、アメリカのコンサルタントが書いた内幕暴露本。いかにお金を分捕るか、の生々しさを綴ったものみたい。でもこれは、今日探してる本とは違う。とりあえず、買うのを控えた。

30分以上歩き回って、もうあきらめた。とりあえず、適当に買おう。
情報管理ジャンル本を適当に3冊、組織管理本を1冊。えいやっと見繕った。たいがいこの手の本は内容が薄く、30分か1時間で読み捨ててしまう。興味あって色々読んでるが、今まで感銘を受けたのは3冊しかない。

ところが大して期待を持たずに読み始めると、思いのほか楽しめた。
買った本のタイトルだけ、まず列記する。

a:「情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」奥野 宣之 / ナナ・コーポレート・コミュニケーション
(2008)
b:「発想の道具箱」中島 孝志 / 青春出版社(2008)
c:「仕事に役立つマインドマップ―眠っている脳が目覚めるレッスン」トニー・ブザン / ダイヤモンド社 (2008)
d:「チーム・ダーウィン 「学習する組織」だけが生き残る」熊平 美香 / 英治出版 (2008)

ここからが感想。とりあえず読み終わった2冊だけですが。
a:「情報は1冊のノートに〜」:☆☆★
 A6サイズのメモ帳を持ち歩き、次々使い捨てる情報管理手法を紹介する。25万部のヒット本だそう。
 無作為の時系列メモをPCでタグ管理し、データベース構築する。いかに情報を簡単にインプットし、蓄積を生かすための手間を惜しまない。膨大な情報管理をPC検索機能を使うのが、今ならではの発想だろう。つい10年前でも一般的ではなかった。
 ある意味ノウハウ本のため、自分がどう使うかを考えるアイディア本としても有効だった。
 
 アイディアのアウトプットを"量より質"でも"質より量"でもなく、"質には量"の発想がいくつか出てくる。ブレーン・ストーミングのメリットを明確に言い切った。
 さらにメモることで頭をリフレッシュ、常に頭をフロー状態に保つ。確かにもう、自分の記憶が一番あてにならないからな。

 30分くらいですぐ読める。電車の中でほとんど読みきり「さっそくA6のメモ帳買って試してみるか」と思いつつ、忘れて帰ってしまった。

b:「発想の道具箱」:☆☆☆
 アイディアをどう出すか。仕事をいかにさばくか。さまざまな発想管理手法を並べ、問題解決やアイディア出しの手法増加を図れる。特段に画期的な発想ではないが、過去のさまざまな方法論を羅列で、自らの発想や管理手法の整理に役立つ。

 膨大な情報を咀嚼し、いかにアウトプットへつなげるか。情報を咀嚼しつつ、異なる観点や手法で活用するポイントを説く。一つの手法を深堀りせず、どんどん羅列するためスピーディな頭の気分転換に役立った。

 この本も1時間程度で読める。漫然もしくは猛然と仕事へあたらず、一歩引いてロジカルに整理し優先順でこなす。テンパると、出来そうでできない。連休明けに方法論を、色々試してみようっと。
2008年08月08日 15時56分23秒
すーすー。
昨日は出張中に、腰をちょっと捻ったみたい。一晩寝ても腰に違和感のこるので、部屋の隅に転がってた液体シップ薬を塗って、会社へ行った。
・・・塗ったあとで気がつく。これ、買ったのだいぶ前だ。ボトルの裏には「2005/2」と記載あり。有効時期なのか、製造日なのか。覚えてない・・・これ、身体に悪いこと無いだろな。

一日過ごして、気持ち悪くなったりはしてない。調子に乗って、もう一度腰へ塗ってみる。すーずしーい。クーラー無いから、これで暑さをしのごうかな。

https://www.liveband.com.au/index.php

さて、音楽ネタを。オーストラリアのサイトで、ライブ音源(合法)を売るサイトを見つけた。まだラインナップは少ないので、これから拡充か。ロック系が多いけど、面白そうな音源もある。最近のライブなのが嬉しい。

まだじっくり見て無いが、フェスティバルでの音源が中心かな?ジャケトもPDFで落とせるのが嬉しい。長尺ライブというより、CD一枚へ収めることを意識していそう。

対象ミュージシャンでは、ブー・ヒューワディン、エディー・リーダー、ルカ・ブルームあたりに惹かれる。

CDなら注文をすぐ入れるのに、DL音源だと注文は躊躇う。「いつでも手に入るだろう」という安心感があるためか。
2008年08月07日 22時23分58秒
とりあえずウィジェット。
雨降ったらしい。今日は一日中事務所で、雷も雨も体感せず。帰宅途中に「雷の影響でダイヤが乱れてます」の放送が。またかい。昨日も、別の路線でダイヤが大幅に乱れた。
最近、極端な天気が多いなあ。

ウィジェットって機能がある。ヤフーで言えばここ。
http://widgets.yahoo.co.jp/

処理速度が遅くなるのイヤで、常駐ソフトはなるべく少なくしてる。でも、最近Yahoo!ウィジェットで、うる星やつらウィジェットが期間限定アップされた。ラムちゃーん♪
http://widgets.yahoo.co.jp/gallery/detail.html?wid=10386
面白そうなので、さっそくダウンロード。でも、いまいち面白さがわからない・・・。デスクトップがうじゃうじゃになり、そもそも中央でブラウザやテキスト・エディタを開いてるため、まずウィジェットを見ない。

めちゃ大きい画面を使って、ちょこちょこ他の情報を知りたい人なら役に立つんだろうな・・・。発想は面白いが、好みとはもう少し、なんか、違う。
これを言語化できれば、商売に出来るだろうになあ。
2008年08月05日 22時37分46秒
文学評論の一方法。
"カフカ/逮捕+終わりー『訴訟』より"翻訳/評論:頭木弘樹(1999:創樹社)を読む。ちょっと前に出版された本だが、面白かったので紹介したい。

カフカを読んで、歯が立たなかったのは高校生の頃。今に至るまで、ろくに再読していない。「城」や「審判」を読んでみたいが、手を伸ばせていない。たまたま図書館で、本書を見つけた。

『訴訟』とはこれまで『審判』と訳されてきた小説。冒頭と最期の一章のみを訳出し、後半にびっしり著者による解説や評論が述べられている。
全集で言う月報めいた小冊子がつき、評論だけでなく編集者による思い入れや出版不況へのぼやきまで入った。

話はそれるが、このぼやきも面白い。良書の出版が叶うための投資として、"気に入った本は、何冊も買ってください"と断言する。本を「商品」と明確に意識した編集者の文章は新鮮だった。本は消費物でなく知的超越物として、神聖化されがちだから。

さて、本書。カフカの『審判』生原稿が1990年の夏に初公開を機に、訳出された。それまではカフカに遺稿を委ねられた男のペンが入った原稿だったという。

なぜ"冒頭と最期の一章のみ"の構成にしたか。カフカがそのように書いたこと、本書を最期まで読まぬのはあまりにもったいなく、この構成ならば作品のエッセンスを味わえると判断したからという。その試みは成功している。
間の章へ興味が沸くいっぽうで、小説世界はこの大胆な抽出ですら、成立した。

後半の評論部分も読ませる。カフカの評論でありつつ、小説読書論としても成立する。あえて苦言を呈するならば、あまりに引用が多いこと。権威付けを狙ったのかも知れないが、著者はもっと自論へ自信を持って欲しい。自分の言葉として、じっくり語って欲しかった。

そんなわけで、本書はあっという間に読める。じっくり読むべきカフカの本において、すら。この手法は標準化できないけれど、とてもユニークなアプローチだ。

熟読の楽しさを、教える本としても読めた。
2008年08月03日 21時19分25秒
ぶーん、ぱ。
いまだに自分の携帯操作に慣れておらず。メール着信のとき、バイブ無しにしたい。でも、どうやったらいいのやら。マニュアルきちんと読んでないせいもあるけれど。
普通に電源を入れてカバンへ入れておくだけで、迷惑メールを次々と着信。それだけで、着実に電池が減っていく。そして気づいたら電池無し。慌てて充電、の繰り返し。間違いなく地球環境に優しくないうえ、携帯の使い方としても間違ってる気がする。

今夜のBGM:細野晴臣"Insects Insists Insecurity"(1985)
 伊のジェノバで開催なイベントへ提供した作品集"The Endless Talking"に収録。ノンスタの平行レーベル、モナドからリリースされた。凄まじいペースで創作を続けた時期の、楽しい一枚。

 そこには13体の造形物が置かれ、細野が音楽をつけるという代物だったらしい。「銀河鉄道の夜」を録音中だった細野は一日だけ時間を作って、シンセとサンプラーを駆使、2トラック・テープへ即興的に音楽を流し込んだらしい。最期の曲を除き、3分程度の作品。イベントではエンドレス・テープで流され続けたという。

 歩を進めるとやがて音楽が聴こえてくる。造形物を見ながら音楽を聴く。また、歩み去る。新しい音楽が聴こえてくる。もしかしたら、二つの音楽が重なっている瞬間があったかもしれない。さぞかし気持ちいいひとときだろう。
 ぼくは昔から、本盤を聴くたびに雨がそぼ降る公園の風景を想像する。傘を差した薄暗い公園を、ゆっくりと歩いている風景を。

 これはタイトルが示すように、羽虫が無造作に飛び交うような曲。本盤で特に好きな曲ってわけでもない。今、まさにBGMで流れている。
 たしか「銀河鉄道の夜」に同様のモチーフがあったような。詳細を思い出せない。
2008年08月02日 21時17分29秒