あわわ。 |
菊地成孔/大谷能生 著「東京大学のアルバート・アイラー(キーワード編)」を読了する。前作と対照的に赤を強調した装丁。ビートルズの「赤盤/青盤」みたいだ。意識してないだろうけど。
楽理知識が無いぼくは、読むのに手こずった・・・。第一章のブルースは斜め読みに近く、最後の「カウンター/ポスト・バークリー」は概念を推測できても、内容はさっぱり。一番スムーズに読めたのは「即興」の章で、興味深かったのは「ダンス」の章だった。カウント・ベイシーをじっくり聴きたくなったよ。
好奇心を刺激する意味において、本作はすこぶる良作だ。僕自身に知識無いので、どこまで読みこなせてるか怪しいが・・・しかし話が深まるほどに、カルト方面に行くね、音楽の話って。
しかし「時間が無い」ってのが惜しいなあ。もっときっちり時間をとって、さらに議論を深めて欲しい。さらに面白くなるだろう。時間が無いゆえに成立したのかもしれない。締め切りも制限も無くこの手の話を深めてたら、いつまでたっても成果物が出来そうにない。今でも発展中な議論をしてるから。
博識に話があっちこっちへ飛ぶがゆえに、もっと突っ込んで欲しい部分もある。それは自分で心ゆくまで勉強しろってことね。ああ、もっと時間欲しいなー。
今のBGM:Prince"Lolita"(2006) プリンスの志向は第三者を意識した、たった一人のファンクではないか。JBやPファンクをひくまでも無く、ダンス・ミュージックは複数がフロアで踊ることを前提に考えたい。たった一人、ステレオの前で踊るためのファンクってのは想像したくない。でも、プリンスが本当に求めてるのはそっちじゃなんだろうか? ドラッギーにいっちゃったスライとも、プリンスの志向は違う。 隣の部屋からそっと、盛り上がってるフロアの熱気を覗き込むような・・・冷静な視線と静寂。プリンスのファンクには、つねにその違和感を感じてた。ハッピーにぐわっと盛り上がるのが、ダンス・ミュージックは一番分かりやすいもの。
この曲は最新作"3121"に収録。まだろくに聴いてない。でもi-podにつっこんで初めて聴いたとき、じわじわと迫りながら、あっけらかんと隙をつくったファンクの色合いがかっこよかった。
昨日レコード屋へ行った時、本盤がBGMでかかってた。そのときには「なんかスカスカ。聴いても物足りないのかな〜」と不安だった。i-podで聴いたときも、隙間が多いって印象は変わらず。しかし畳み込むリズム感と、多重録音による異様なジャストさに惹かれた。
そして、今。スピーカーで聞いている。・・・いいじゃん、これ。 低音成分もきっちり含み、怒涛のクールさが降り注ぐ。この曲は意外にポップ。"kiss"の猥雑さをじわっと太いキーボードの音色と、細かなハーモニーやギターのフレーズで飾った。
この盤、じっくり聴いてみよう。たとえば"Beautiful,Loved,and Bressed"のようにポップなメロディよりが、むしろ邪魔に感じることがある。 それよりたとえば"Incance and candldes"のように透徹ファンクのほうに、今のプリンスが作る魅力がにじみ出てると思うんだ。まだ枯れてないぜ、プリンスは。 |
2006年03月19日 18時26分36秒
| |