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のんびりてきとー日記です。 ちなみに過去の日記はこっちです。

ぷち。
しゃきっと短文で締めくくれたらいいのに。なんだかだらだら長文日記が癖になってます。ネタも無いのに長文で書いてどおする。
ということで、今日は短い日記。

アマゾンからクーポン券が届いた。ふと、どの店でCD買うのが一番お得か考えてしまう。タワレコではポイントカードが一杯で3000円引き。でもレコファンだとそもそも値段が安い。どっちがお得なんだろう。

ちなみにタワレコ以外の大型店ではめったに買いません。ポイントカード分散しないほうがいいかなって。ああ、せこい。

今夜のBGM:prince"United States of division"(2004)

 "Musicology"の2ndシングル、"Cinnamon Girl"より。これはUK盤シングルのカップリングで、アルバムには入ってない。プリンスはずいぶんこのパターンが多い。アメリカのミュージシャンにしちゃ、珍しい。
 80年代のシングルは、どれもこれも充実したカップリング曲だった。だけど90年代はいまいちだったよね・・・。

 でも。これは気に入った。プリンス流のべたっとしたファンク。あんまりコード進行がなさそう。サビのスキャットが涼やかで好き。

 プリンスのファンクって、ぐいぐい腰を押さない。じわじわっとビートがまとわりつく。そんな怪しげなファンク・ビートに乗って、この曲は胡散臭く進む。
 力いっぱい凝ってやしない。アルバム収録曲に比べりゃ小粒だ。まあ、"Musicology"がとんでもなく充実した盤だけど。
 シンプルな構成のわりに、上ものがくるくる変わっていくアレンジを追ってるうちに、一曲が終わってしまう。
2005年07月13日 00時03分39秒
にゅー。
人身事故だかで、朝っぱらから電車が一部不通。仕方ないので、別の路線で出勤しました。混んでたよ。

しかし詰め込み具合はまだ甘い。もっと押し込めるはず。10年前の通勤電車は、さらに押しくら饅頭だったと思うがなあ。ラッシュの乗り方を知らない人間が多くなったんだろうか。
いっそ徹底的に詰め込んだら体が動かないから楽だし、立ったまま居眠りも出来るのにな。

エドマンド・リーチ「レヴィ・ストロース」(1970:2000年/ちくま学芸文庫)を読む。学生時代にちょろっとレヴィ・ストロースはかじった。
文字通り、かじっただけ。「悲しき熱帯」はさっぱりわからず、「親族の基本構造」は歯が立たず放り出したもの。どっちみちキーワードをすっかり忘れてるや。

リーチは機能主義の社会学者らしい。しかしストロースとも交流あり、彼の構造主義に理解を示したという。この本はストロースの業績の啓蒙書だと思うが・・・ギャグと丁寧な表現で覆い隠すも、ストロースをこてんぱんに否定してる気がしてならない。なんとも面白い本だった。
しかしこういう本の想定読者って誰なんだろう。学生かな?

中身は難しいから、かなり飛ばして読んだ。でも、こういうの読むと言語学も読みたくなる。チョムスキーとかソシュールとか。どっちも学生時代に読んで、まあったくわかんなくて頭抱えたな。

レヴィ・ストロースの業績を云々できるほど、知識はぼくに無い。ぼんやり考えてたのは、神話の位置づけだった。
彼は神話を共同体の包括的な"歴史"と捉えてるらしい。たぶん。

でも、源氏物語すらない世界で、単純に神話が娯楽の物語として存在した可能性はないのかな。文字がすでにあったかは知らない。でも、語り聞かせるからこそ啓蒙の要素を必要とし、聴いて楽しむからこそタブーへ積極的にすりより、荒唐無稽な構造を作ってゆくんじゃなかろうか。
そして語ってゆくからこそ、骨組みが固まり枝葉が増えてゆく。

実際の神話の発生経緯は、さほど興味ない。むしろ深層心理学の一環として、物語論の観点から神話を語った本ってないかな。
神話そのものの分析じゃなく、神話を必要とした社会論の観点から。
何だかそんな本も読んでみたくなった。しかしタイムマシンでもないと、説得力ある論理が成り立たたなそう。

今夜のBGM:Walter Bishop Jr.'s 4th cycle"Soul village"(1973)

 ウォルター・ビショップはチャーリー・パーカーとも共演した、40年代から活躍するジャズ・キーボード奏者だそう。
 ジーン・ラッセルが設立したロスのレーベル、Black JazzからリリースされたLP"Keeper of my soul"に収録。本レーベルは、先日Pヴァインから全作品がCD復刻された。ファンク系を集めたコンピ"Return of Jazz Funk"で聴いている。

 70年代ということで、スティーヴィ・ワンダーを連想するキーボードの音色がまず嬉しい。演奏が始まると、ぐいぐいファンキーなジャズへシフトする。
 しかしこのレーベル、コンピを聴く限りではどれもボトムが軽い。音質を求めて(?)超軽量レコード(95グラム)を採用したせいか。
 テーマの旋律をkey,vib,tsがユニゾンで動くあたり、フュージョンへの動きを連想させて面白かった。
 vibはウディ・マレイ。ころころ軽快なヴィブラフォンを聴かせます。ちらっと検索してみたが、プレスティッジなどにも録音を残してる人みたい。
2005年07月11日 23時40分19秒
はああ。
なんだかくたびれてる一日。風邪も治したはずなんだけどなあ。今夜はぜひ行きたいライブもあった。でも体力になんとも自信なく、諦める。はああ。納得いかないなあ。
ここんとこ平日はあれこれサプリを呑んで、体力気力の尻を叩いて出かけてた。そのクール・ダウンも兼ね、土日は薬を抜いてるんだけど・・・そのせいだろか。やだやだ。

といいつつ、寝てばかりでは芸がない。出かけたついでに足を伸ばし、初めて行くブックオフの支店へ行ってみた。CD棚はあんまり充実してないなあ・・・とちらちら見てた。山下洋輔の棚で目をむく。
"Playground"があるじゃん。1000円ちょいの値段で。林栄一と菊地成孔が参加してて、今までさんざん探してた盤だ。
こないだ、別の店で無事に見つけたけど・・・こんなところに、こんな値段であるんかい。
レコード掘りは、やっぱ侮れないなあ。

今夜のBGM:林栄一"Donna Lee"(1996)

 昨日のライブ聴いて、林栄一を聴きたくなった。これは彼の2ndリーダー作"Monk's mood"に収録。ドラムを叩いてるのは、これまた昨日のライブで聴けたつの犬だ。

 曲はパーカーの曲。このテイクはドラムとのデュオで録音された。性急にドラムがサックスをあおる。フォービートにとらわれず、せわしなくタムを回し、ハイハットを踏む。
 そのドラムへつかずはなれず、林はアルトサックスをクールに歌わせた。浮き立つアドリブがいいねえ。なんとも器楽的な演奏なせわしなさだが、暖かさはしっかり漂う。
2005年07月10日 23時14分18秒
ぺるるる。
ノートランクスへ渋さチビズを見に行ってきた。でも、不破大輔が体調不良で、急遽欠席。片山広明+林栄一+つの犬の三人編成となった。感想はHPのほうでいずれ書きます。
林栄一は復帰の初ライブ。1stセットでは鋭く突っ込むフレーズ多し。えらく緊張したサックスだなと思ったら、リードのせいだったのかも。休憩時間にリード交換して、2ndでは彼一流のゆとりあるアドリブをたんまり聴けた。

ちなみにつの犬のドラミングはリズム刻みよりもパーカッシブなアプローチだった。フリーな展開が面白かったな。
で、彼の1stセットでのドラムソロを聴いてたら、ふと頭に浮かんだことが。
手数多く、つつくように隙間を埋め尽くすソロ。力任せでなく、空気を塗りつぶす。
・・・それを聴いてたら、昨日見てたタモリ倶楽部の漆喰塗りを思い出しちゃって。何をマヌケなこと、考えているのやら。

今夜のBGM:King Missile (Dog fly religion)"The Love song"(1988)
 シミーからリリースされたアルバム"They"に収録。本作が2ndかな?プロデュースとエンジニアは、もちろんクレイマー。
 このころのミサイルはドッグボウルもいる。メンバーはCharles Curtis(vc)とStieve Dansiger(per)の4人組でいいのかな。クレイマーはスライド・ギターなどで演奏にも加わり、シミーなじみのDavid Lichtも参加してる。

 これはドッグボウルの作曲。サイケな風味でしみじみと穏やかなポップス。歌はけっこうピッチが怪しいが、和めるよ。オブリを弾いてるのがチェロかなあ。
 不安定にメロディが揺らぎ、ギターの刻み(たぶん、ドッグボウル)とシンバルのシンプルなリズムが、曲をたゆたわせる。
2005年07月10日 01時04分50秒
「オマタツ!」
これがキャッチコピーだそう。山下達郎の7年ぶり新譜"Sonorite"のリリースは9/21に決まったらしい。全12〜13曲入りで、半分は新曲とか。
"フェニックス"、"忘れないで"、"Forever mine"、"Midas touch"、"太陽のえくぼ"に、Kinki kidsへの提供曲"Kissからはじまるミステリー"のセルフカバーに、新曲6〜7曲を追加予定って記事を見かけた。

タイアップ中心のシングルを切ってるからなあ。こないだ出た小田和正の11曲中10曲タイアップってアルバムにもひっくり返ったけれど、それに比べりゃ新曲が多いね。

ビジネス形態に文句をつけるつもりは無い。ただ、もっといっぱいアルバムをリリースして欲しいな、って。それだけ。
じっくり作るからこそリクープのために、じっくり売るんだろうなあ。
達郎のファンクラブ会報が今日届いた。プロトゥールズへの移行で、録音がままならないとぼやき倒してた。"Pocket Music"の時みたい。「今回はあくまで過渡的なもの」と発言する。録音技術のことだと思うが・・・。

達郎は今年で52歳らしい。スマイル・レーベルは一枚を丁寧に売るし、まりやのアルバムもある。
達郎は一体あと何枚、オリジナルアルバムが出せるのか。今のペースだと、60歳になるまでに1〜2枚って恐れすらある。録音環境に悩まされず、のびのびと創作した一枚を聴きたいよ。

もちろん"Joy2"みたいな企画盤も聴きたいし、ムーン時代のボートラたんまりな再発ってのも、聴きたい。来年は"Melodies"の二十周年記念になるが・・・本人のツアーとかぶって、発売は無いかな。

2006年:達郎ツアー
2007年:まりや新譜
2008年:Joy2
2009年:まりや新譜
2010年:Melodies 25th 記念盤リリース

・・・ってとこか。すでにこの時点で達郎は57歳。
あんまり先のことを考えたって仕方ない。でも、この間に自分のアルバムを2〜3枚、出して欲しいなあ。

気が早すぎるね。まだ、"Sonorite"がリリースすらされて無い。この盤を楽しみに待ちます。最近のシングルの充実振りからいっても、とびきりの盤になるだろう。楽しみ。

今夜のBGM:Miki Howard"Who ever said it was love"(1989)

 ふと聴きたくなって、ひさびさに引っ張り出した。3rdアルバム"Miki Howard"に収録。当時、ヒットをしたらしいが・・・ぼくはこの盤、リアルタイムでは聴いてない。数年たってから、ひょこっとセコハンで手に入れた記憶ある。

 これはキャメオのラリー・ブラックモンがプロデュースした曲。ミュージシャンのクレジットが無いが、一人多重録音かな?ギター以外は打ち込みのようだが。
 とびきりの出来、とはいえないと思う。ミドルテンポで静かなファンクネスはあるけれど、ミキ自身がさほどつっこんだ歌い方をしない。さらっとメロディをなぞってく。
 けれども歌そのものは上手いので、しみじみ聴いちゃった。こういうきらびやかで落ち着いたソウルって、今でもあるのかな。うー、色々聴きたくなってきた。
2005年07月06日 23時44分40秒
黒田トリオ:実聴の感想。
 手に入れましたよ、黒田京子トリオの初CD"Do you like B?"を。メンバーは黒田京子:p、翠川敬基:vc、太田恵資:vlnの3人組。
 曲を演奏しつつも、本質の魅力はインプロにあり。自在かつ優雅に変貌する音楽を、本CDで凝縮させた。

 しばらく前の日記で、購入前の仮想感想を書きました。今回は聴いたうえでの感想を書いてみます。ちなみに、前回の読み返してません。すんません。
 矛盾があったら、こっちが正です。どっちみち文責はぼくですが。
 いずれにせよ聴くたびに感想は変わります。そういう音楽です、これは。・・・たぶん。

 録音は一日で一気に行われた。ライブ演奏に比べ、曲は短め。
 リハはやったのかな。一発録音って可能性もある。アドリブを短くして凝縮、濃密な世界を立て続けに続ける。
 すなわち真剣なアプローチへ、スポットをあてた一枚となった。
 凛とした音楽が、全編に渡って響き渡る。

 ぼくはライブからこのトリオの演奏に触れた。あたりまえか。これが1stだから。
 ライブを聴くとトリオには真剣さと同時に、ユーモラスさもあるとわかる。その側面も入れて欲しかったなあ、というのは欲張りか。
 もしかしたら(9)にその思いを込めたのかもしれない。しかし後述の通り、凛とした空気がどうしても先に立つ。
 唯一の手がかりが、帯裏の写真かな。ジャケット写真とは一転、にこやかな空気を漂わす。あえて帯裏の写真収録で、世界観のバランスをとったのか。

 ちなみにジャケットのシルク・スクリーンは黒田京子の自作。
 美術は上手く説明できない・・・落ち着いた色合いと言えないや。

 サウンドは全般的にうっすらエッジを磨いた仕上がりで、渋さと艶やかさが混在する。バランスは右が翠川、左が太田。中央に黒田。in-Fでのライブ定位に合わせた格好か。
 なお、今はヘッドホンで聴きながらこれを書いてます。理由は(2)のとこで詳述します。いいヘッドホン、欲しくなったなあ。ぼくのは相当前に買った安物で、だいぶへたってきてるんだ。

<各曲感想>

1.para cruces
 翠川作曲。初手から重厚な響きが太く流れる。
 テーマからするりと即興に雪崩れ、バイオリンが存分に歌った。ピアノとチェロのグルーヴが凄まじい。
 CDのためか、あっというまにテーマへ戻ってしまう。焦らされてるようで、もどかしいぞ。

2.二十億光年の孤独
 黒田作曲。ライブではスピードと雄大に揺らぐ印象あったが、本テイクは静かに地平を広げ、奥深さを提示した。底なしの空間へ立っているような、あやうい美しさがある。
 譜面と即興が滑らかに混在する、特有の構築性が上手く結実した。たびたびピアノと弦のユニゾンが登場し、世界観を揺るがせない。
 途中でぽつりと挿入される、呟く太田の響きが効果的。

 チェロは奔放にダイナミクスを遊ばせた。pppも聴かせる。ヘッドホンだと、よくわかるよ。しかしスピーカーだと、ボリュームを思い切り上げないと分かりづらい。ふっと空白を感じる箇所も。
 奥が深い曲だ。ピアノは低音の連打が気持ちいいな。

 これは録音物として、すごく難しい問題では。ライブならいいよ。集中すれば自分で耳の楽器バランスを、自由に変えて聴けるから。しかし録音物だと、録音レベルをあわせないと意味がない。チェロの音量だけ上げたら、pppの意味がない。
 けれど楽器の音量を合わせることで、右チャンネルが小さくなり、ぽかんと空白が出来てしまう。スピーカーの中央で、小さめの音で聴いてたら、妙に気になるんだよ。深夜に聴いてると、音量上げられないんだもん。
 かといってダイナミックで幅広い表現こそが、翠川の魅力だしね。難しいなあ。

3.Check 1
 翠川の曲。これ、ライブで聴いたことあった。どのライブかは覚えてない・・・。
 叩きつける弦の弓と、ピアノのアタックが怒涛で流れる。1:50あたりからの、三者のせめぎ合いがスリリング。
 弦の対話を生かしつつ、わずかなスペースへ素早く踏み込むピアノも隙がない。即興の緊張をみごとに切り取った傑作テイクだ。

4.Anohi
 翠川の曲。右チャンネルで聴こえる風切り音は、翠川のブレス・ノイズか。聴いてて、夕暮れの河川敷風景が浮かんだ。その空間をすっと飛ぶトンボのイメージが、この風切り音に重なる。
 
 ピアノがわずかにビートを感じさせる。実際には小節があると思うが、ノービートのイメージが強い。3:33あたりのチェロの響きが色っぽい。
2005年07月02日 17時12分48秒
その2。
5.Hage
 富樫雅彦の曲。弦二本でテーマを提示する。ここでもチェロのダイナミズムが触れ幅大きい。音量を大きくして聴きたい。
 打楽器的なアプローチを感じた。単純にチェロはピチカート、ピアノの流麗なフレーズに打楽器のロールの同一性印象を、勝手に押し付けただけなんだが。
 中盤で3人の音が溶け合って高まり、ばらばらばらっとほどけるさまが圧巻だ。さみしげな雰囲気を常に漂わせた。

6.Waltz Step
 富樫雅彦の曲。三人がそれぞれ追っかけあい、次第に寄り添ってゆく。チェロがおもむろにテーマを提示する。ところどころピッチを揺らがせ、不安をあおった。
 ワルツであっても、単純に踊らせるアプローチは取らない。生真面目に不安定さを保つ。
 バイオリンのソロが、すんばらしく美しい。
 
7.Valencia
 富樫雅彦の曲。曲の持つ美学へ素直に向き合い、テーマから三人で滑らかに音楽を紡ぐ。あえてところどころスペースや揺らぎを残し、輝きを強調した。

 2番目に(1番目は(9))リハをやったのかを、知りたい曲。テーマは一旦1:48あたりで幕を下ろす。そこからじわじわと余韻を漂わせ、ピアノからチェロへ。ごく自然に音が繋がる。
 実際にはアイコンタクトで繋げたとは思う。でも、p〜vcと続く中間部分で、バイオリンはまったく音を出してない。こういうアレンジは、どのくらい事前に相談したんだろ。まったくの一発録り、即興演奏だろうか。
 10分強と、アルバム中最長テイク。それにふさわしい、充実さだ。

8.HindeHinde
 ヒンデミットの"Three easy pieces for Violencello and Klavier"の第一楽章がモチーフ。緑化計画ではしばらく前からレパートリーにしていた。
 黒田京子トリオでもライブ演奏を重ね、独自の世界観を提示する。クラシカルな立ち位置のため、かっちりした印象を持つこともあるが・・・ここでは親しみやすい演奏に仕上げた。全員が性急に駆け抜け、黒田のパワフルなピアノで土台をぐらぐら揺らす。

 冒頭で黒田トリオのユーモラスさにも触れてほしい、と述べたが・・・もしかしたらこの曲が、奔放に音楽を楽しむ彼らの姿勢の象徴かも。コーダは痛快に三人で一打ち。

9.Moko-haan
 太田の作曲、とある実際はどこまで譜面だろう。黒田のアコーディオンと翠川の変則奏法をバックに、思うさま太田がホーメイを聴かせる。
 バイオリンに持ち替えたとたん、太田のアラブ風味が炸裂。「オータのトルコ」の持ち味が破壊力ならば、ここでは流麗さ。するすると心地よく音に運ばれる。

 なにも事前相談や譜面なし、完全即興で仕上げたのなら、密度の濃さは尋常じゃない。ひねり技を使い倒すので、コミカルさも聞きようによっては感じる。でも即興程度を考えながら聴いちゃうので、僕のほうにそこまで余裕ないのです。

10.Baka Na watashi
 黒田の作曲。「馬鹿な私」はコミカルな要素を織り込みやすい。だけど冒頭からユニゾンでガンガン突っ込み、太田がメガホンでボイスを叩き込み、激しくバイオリンをかきむしる。怖いくらい。
 翠川も情け容赦なくフリーにチェロをうならせ、ピアノも激しく鍵盤を叩く。
 ラストで一声、太田が叫ぶ。ライブに行けば分かる、手の込んだユーモアを内包した一曲。

11.Do you like B?
 ブラームスのピアノ・トリオ1番の第一楽章の冒頭部分より。
 なぜ収録されたかは、in-Fマスターによるライナーで分かる。もともとこの曲のために、トリオは「ユニット」として結合した。
 ライブ演奏でなく、スタジオで再録したテイク。テンポは実際のライブと似たテンポを採用した。最後に、さりげなく持ってきたセンスが楽しい。

 パパッと書いたつもりだけど、なんか長くなったな・・・最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

 本音を言うと、人に薦めるときに、とても表現に困ってました。
 音楽性が幅広い上、即興の親和度が魅力だと思ってるから。上手く口で説明が、できやしない。だからCDが出たことは嬉しいです。
「黒田京子トリオっていう、とびきりの"音楽"があるよ。CD聴いてみて」と、一言で説明できるから。
 ・・・それは説明じゃない、というツッコミはスルーさせてください。

 自主レーベルの発売なので、流通はどうなるんでしょう。興味もたれたら、ここで詳細ご確認ください。
http://www.ortopera.com/trio.html
2005年07月02日 17時14分04秒